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業界人の《ことば》から第240回

欧米に20年遅れている、無法地帯の出張業務を最適化

2017年04月05日 09時00分更新

文● 大河原克行、編集●ASCII.jp

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今回のことば

 「日本では、出張費の管理は半ば放置状態となっており、違反や例外が頻発している。欧米に比べて20年遅れている出張関連業務を、パーフェクトトリップ・ネットワーク構想によって解決したい」(コンカーの三村真宗社長)

 コンカーがパーフェクトトリップ・ネットワーク構想を発表した。

 同社のクラウド出張管理サービス「Concur Travel」やリスク管理サービス「Concur Risk Messaging」、経費精算サービス「Concur Expense」、出張費分析サービス「Business Intelligence」と、各種予約サイトを連携。

 さらに、タクシー会社や駐車場サービス会社などの連携によって、出張前の検索、予約、申請、承認作業のほか、出張中の旅程確認、移動、Wi-Fiレンタルなどの各種サービス利用、リスク管理、支払い業務、出張後の経費精算、承認、支払い、出張分析などをワンストップで利用でき、一元的なビジネストラベルマネジメント(BTM)を実現できるという。

 たとえば、海外出張の際にはConcur Travelによって、飛行機や鉄道、ホテルなどを予約。その際に、出張規定に基づいて利用できる飛行機やホテルなど表示され、そこから最適なものを選択できる仕組みとなっている。

出張を最適化、時間も経費も大幅削減

 国内出張の場合には、じゃらんや出張ナビなどの外部予約サイトを利用。同社の統合技術であるTripLinkによってコンカーのサービスと連携可能で、外部サイトで予約した旅程などが記載されたメールを自動解析し、旅程管理表に作り直し、精算業務などにも利用できるようになる。

 海外では、ユナイテッド航空やルフトハンザ航空、Airbnbなどと連携。日本では、メール連携として日本航空、全日空、JR東海が対応済み。今後、楽天トラベルやJTB、Yahoo!トラベルなどの予約サイトのほか、航空会社、鉄道会社、ホテル、レンタカー会社などとも連携し、2017年6月末までにおよそ50サイトに対応する予定だ。

 また、新たなTripItと呼ぶサービスを日本でも開始。これを利用することで予約情報を一元的に管理し、スマホ上に表示。航空会社からのゲート変更や希望シート空き情報などをプッシュで通知したり、代替フライトの検索や旅程の共有、マイレージポイント管理などにも利用できる。

 2017年3月からプッシュ通知機能を持たない無償の英語版を提供。2018年を目標にプッシュ通知機能に対応した英語版を有償でリリースし、2018年以降には日本語版を有償で提供するという。

 同社によると、英語版はユーザーインターフェースだけが英語であり、読み込んだサイトからの旅程情報やメール内容などは日本語で表示される。「英語版でも支障は少ないと考えている」としている。

 さらに、海外でテロや大規模災害などが発生した際にも、その地域への出張者を特定したり、出張している社員に対して退避指示などの情報提供をすぐに発信できる仕組みも提供する。

 そして、経費精算に関しても、これらのデータを活用。「これまで半日程度かかっていた海外出張の経費精算が、わずか数分で完了する」(コンカーの三村真宗社長)という。

 業務工数の削減効果に加えて、適正な出張経費の使い方が浸透し、出張費用そのものが大幅に削減されるというメリットも生まれるという。すでに、出張費用をおよそ2割削減できた国内企業もある。

 三村社長は、「パーフェクトトリップ・ネットワーク構想を実現し、日本の企業に浸透させることで欧米に比べて20年遅れている出張関連業務を改善したい」と語る。

出張費が管理されない日本企業、違反に不正、架空出張まで

 日本CFO協会の調査では、63%の企業が国内出張費用において適正化の余地があると回答。海外出張に関しては、73%と4社に3社が適正化の余地があると回答している。

 また、50%の企業で社内旅費規程における違反や不正が発生しており、限度額や規定グレードを超えた航空券やホテルの利用は26%に達している。そして「から出張」と呼ばれる架空の出張も21%に達しているという驚くべき実態が浮き彫りになっている。

 「欧米の企業は、間接費の最適化において出張管理を最重要テーマに置いている。また、出張者も統制された環境で出張するのが当たり前と考えており、高度にIT化された環境を活用しながら出張者自身が予約を行なっている。これに対して、日本の企業では出張費の管理が半ば放置状態になっており、違反や例外が頻発しているのが実態だ」とする。確かに、日本CFO協会の調査でもその点が浮き彫りになっている。

 さらに、こんな点も指摘する。

 「出張者側には、出張に対して福利厚生的な権利者意識があり、遠くまで出張するので便宜を図ってほしいという考え方が日本の企業のなかに蔓延している。その結果、航空券や宿泊料が少し高額になっても仕方がないという認識がある」とする。

 これも出張費用や業務が適正にならない理由のひとつだという。

 「企業経営の考え方や出張者の意識改革を行なうところまでは、コンカーは手を出せない。だが、パーフェクトトリップ・ネットワーク構想によるIT基盤の提供により、出張業務のプロセスとデータを一元化し、欧米の先進企業並に出張業務基盤を進化させ、人手のサービスに依存した旧態依然の業務から脱却するきっかけをつくることはできる。これが、日本の企業の出張業務を改善する上で大前提となるのは間違いない。こうした観点から、出張に関する経営方針の変更や、出張者の意識改革を働きかけたい」とする。

 同社では、パーフェクトトリップ・ネットワーク構想に基づいたConcur Travelの導入計画として、2020年までに400社への導入を図る予定だ。従業員3000人以上で、海外売上げ比率が50%以上の企業への導入が中心となるターゲットだ。

 「出張管理業務において、日本の企業が夜明けを迎える」と三村社長。出張に対する業務変革と意識改革を促すきっかけになりそうだ。

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