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知ってそうで知らないレーザー光源の話など、NECの最新技術を聴く

2017年09月25日 09時00分更新

文● 小林 久 編集●ASCII

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ほこりがプロジェクターの画質を落とす

 冷却機構には防塵性能も重要だ。レーザー光源は2万時間の寿命が標準的で、中には5万時間をうたうものもあるが、光源だけ長寿命でも表示素子にほこりなど付着すると明るさが落ちてしまう。ほこりへの対策が不十分だと、2万時間で20%ぐらいの明るさに落ちてしまうが、以下に述べる対策で60%程度まで維持できるという。

密閉光学エンジンに取り組んでいる

液晶タイプでも密閉式に

 粉塵試験の内容はNECディスプレイソリューションズのウェブサイトでも公開されている。

外はほこりだらけだが、内部はクリーンに保たれている

防塵性能をグラフで比較したもの

フィルターレスで光学系にほこりをまわさない

 まずNECディスプレイソリューションズが取り組んでいるのが、密閉循環冷却システムだ。直接空気を当てるのではなく、密閉した箱の中に、温度が低い部分(放熱する部分)と、高い部分(熱源に近い部分)を作り、これを循環させて(熱交換して)冷却する方法だ。表示素子には現在、DLPとLCD(液晶)の2種類が用いられているが、それぞれ仕組みが異なる。

 DLPは反射型の素子のため、表示デバイスと光源を密閉した箱に入れても、素子の裏側から熱を逃がせ、パネルの冷却が簡単だ。そのためDLP密閉循環冷却方式は、比較的小型に実現できる。

DLPタイプのユニット

 一方、LCDは透過型のため、密閉空間内でパネルの冷却が必要になる。そこで熱交換器を付け、かつ衝突噴流の技術を使って冷却効率を上げている。この仕組みの特徴はフィルターレスを実現できる点で、外気に触れるのは外に出した熱交換器だけとなる。光学素子側に粉塵を取り込まないで済む。

写真のように密閉する

カバーを外したところ

ふたで閉じて内部循環する

底部にも放熱用のパイプが張り巡らされている

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