このページの本文へ

フォーティネット、脅威レポートの2017年第2四半期版を発表

既知の脆弱性を狙うエクスプロイト、多くの企業で見つかる

2017年09月19日 07時00分更新

文● 谷崎朋子 編集●大谷イビサ

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 フォーティネットジャパンは9月15日、「フォーティネット脅威レポート」最新版である2017年第2四半期版(日本語)を公開した。同レポートは、グローバルに点在する300万台以上の同社セキュリティデバイス/センサーで収集した2017年4月1日から6月30日にかけての脅威情報を調査・研究チームFortiGuard Labsが分析した結果となる。

既知の脆弱性を狙うエクスプロイトが増加、攻撃は週末に増加

 2017年第2四半期のサイバー攻撃において、エクスプロイト(IPSで検知された、脆弱性を不正利用する攻撃)の1日当たりの検出件数は第1四半期から4億件増の18億件、マルウェア(ゲートウェイやサンドボックス、エンドポイントで検知されたプログラム)は41万件増の67万件と大幅な上昇が見られた。

 特にエクスプロイトについて、フォーティネットジャパンの寺下健一氏は「WannaCryやNotPetyaといった、既知の脆弱性を狙い横展開で拡散する“ランサムワーム”も検出増加の一因」と分析。第2四半期には90%もの組織で発見から3年以上は経過している脆弱性を悪用したエクスプロイトが見つかり、60%の企業では10年以上前の脆弱性に関連した攻撃が観測されるなど、パッチ適用の重要性が改めて認識される四半期だった。

フォーティネットジャパン FortiGuard Labs セキュリティストラテジスト 寺下健一氏

 また面白いことに、エクスプロイトの約44%が土日の週末に発生するという傾向が見られた。「これは管理者が不在、または対応人数が少ないだろう土日であれば検知や対応が遅くなることを狙ったのではないか」と述べた寺下氏は、NotPetyaがウクライナ憲法記念日の6月28日の前日に発動したことや、韓国のウェブホスティング会社に13億ウォン(約1億2700万円)相当の身代金を支払わせたErebusも深夜に発動したことなどを挙げ、意図的に行動していると説明した。

週末にサイバー攻撃が活発化する傾向が顕著に

 もう1つ、特筆すべきはマルウェアダウンローダーの検出された企業の割合および検出数がともに多かったことだ。「ダウンローダーの厄介なところは、ファイルなどで社内ネットワークに落とされた時点では発動せず、しばらくしてから攻撃活動を開始する点だ。つまり、すぐに発動しないことで無害判定されず、そのまま通常ファイルとしてネットワーク内に保存される。当然、シグネチャも作られることもない。その結果、あるタイミングで一斉に発動して次々感染や攻撃を実行されると、一瞬で大規模攻撃へと発展してしまう」(寺下氏)。

マルウェアダウンローダーの検出数が増加

1550498

 こうした傾向に対処する方法として、脆弱性パッチの適用や重要なパッチの公開などの情報収集、管理者不在時も攻撃を防止できるような自動化機能の導入、さらなる拡散を防ぐためのネットワークのセグメンテーション化などを寺下氏は挙げた。

 レポート最新版のほか、製品マニュアルや技術資料は会員限定サイト「フォーティネット倶楽部」からダウンロードできる。

カテゴリートップへ

アクセスランキング

  1. 1位

    デジタル

    実は“無謀な挑戦”だったルーター開発 ヤマハネットワーク製品の30年と2025年新製品を振り返る

  2. 2位

    ITトピック

    「全国的に大変な状況になっています」 盛岡のSIerが見た自治体システム標準化のリアル

  3. 3位

    ゲーム

    信長を研究する東大教授、『信長の野望』を30年ぶりにプレイ 「若い頃だったら確実にハマってた」

  4. 4位

    ゲーム

    92歳 vs 95歳が『鉄拳8』でガチ対決!? “ご長寿eスポーツ大会”が海外でも話題に

  5. 5位

    sponsored

    SIer/ネットワーク技術者こそ知ってほしい! 「AV over IP」がもたらすビジネスチャンス

  6. 6位

    デジタル

    ヤマハ、2026年夏にWi-Fi 7対応アクセスポイント投入 スケルトンモデルも追加で「見せたくなる」デザインに

  7. 7位

    TECH

    NTTが日比谷を「光の街」に。次世代通信技術を都市にインストール

  8. 8位

    ITトピック

    セキュリティ人材の課題は人手不足ではなく「スキル不足」/生成AIのRAG導入が進まない背景/日本で強いインフレ悲観、ほか

  9. 9位

    ビジネス・開発

    10年先にいる「将棋界」から学ぶ 強豪将棋AI・水匠チームが語る“人を超えたAI”との向き合い方

  10. 10位

    TECH

    2026年度始動の「サプライチェーンセキュリティ評価制度」 企業セキュリティが“客観評価”される時代に

集計期間:
2025年12月21日~2025年12月27日
  • 角川アスキー総合研究所