新エンドポイントセキュリティ製品も発表されたVMworld初日基調講演
究極のハイブリッドクラウド「VMware Cloud on AWS」がいよいよ開始
2017年08月30日 08時30分更新
米VMwareは、2017年8月28日~30日(現地時間)の3日間、米ネバダ州ラスベガスのマンダレイベイコンベンションセンターにおいて、「VMworld 2017」を開催。基調講演にはVMwareのパット・ゲルシンガーCEOとAWSのアンディ・ジャシーCEOがそろって登壇し、昨年発表された「VMware Cloud on AWS」のラウンチを高らかに宣言した。
集中と分散の歴史の中で、クラウドからIoT/エッジへと移る
今年のVMworldは全世界から2万3000人以上が事前登録。日本からは、VMwareの三木泰雄会長をはじめとする同社関係者のほか、パートナーや顧客企業など、約300人が参加した。また、米デルテクノロジーズのマイケル・デル会長兼CEOやデル日本法人の平手智行社長なども開催初日から参加していた。
14回目を迎える今年のVMworld 2017のテーマは、「I AM(アイアム)」。その言葉の後ろに、「A PIONEER」「AN INOVETER」「BUILDING TOMORROW」「SHAPING FUTURE」などの言葉をつなげてメッセージ化。これらを具現化している先進的な顧客にフォーカスするとともに、VMwareがそれを支援していく姿勢を込めたという。会期中には、ユニファイドハイブリッドクラウド、ハイパーコンバージドインフラストラクチャ、クラウドマネジメント&サービス、ネットワークバーチャライゼーションなどのトピックスを中心に500以上のセッションが行われた。
開催初日の午前9時から行なわれた基調講演では、CEOであるパット・ゲルシンガー氏が登場。「我々は、いま大変興味深い瞬間に存在している。テクノロジーの進化により、かつてはSFの世界であったものが現実となっている。自動運転はその1つであり、最初は、誰もハンドルを持たずにクルマが動くことに驚くが、2分後にはこのクルマはなぜ動いているのかということに興味を持つ。しかし、5分後には自動運転が馬車よりもゆっくりで、いつになったら目的地に着くのか、飽き飽きしてしまう」と語る。
一方で、AmazonやAlibabaが登場し、Eコマースは急速に進んでいるように感じるが、「業界全体からすればeコマースの構成比はまだ10分の1にすぎない。デジタルメディアの広がりも、将来は1兆ドルの市場規模に成長すると見込まれているが、ようやくその半分の規模に達したにすぎない」などとし、劇的な技術変化の時期が訪れているとともに、それに伴う課題についても指摘。「テクノロジーによって、変わる領域はまだまだある」と、現在の環境を俯瞰してみせた。
そして、「企業は、自らのビジネスを、カスタマーエクスペリエンス、アプリ、ソフトウェアスキルによって変化させており、それによって勝敗が決まっている。VMwareの戦略は、Any Cloud, Any Application, Any Deviceであり、企業が自分たちのビジネスのためにアプリを作り、それを提供することを支援する役割を果たす」とした。
また、これまでのIT業界では、メインフレーム、クライアントサーバー、ミニコンピュータ、インターネット、クラウドと、集中と分散を繰り返しており、いまはクラウドからIoT/エッジへの世界を迎えていると指摘。「フィジカルの世界が、デジタルの世界につながることで、さらに多くのデータを生み出すことになる。アプリやサービスが急速に増加し、攻撃の対象となる領域も増えている」と発言。IoTの時代が到来していることにあわせて、VMwareは、Pulse IoT Centerを投入していることに触れながら、「Pulse IoT Centerは、スマートファクトリーやスマートシティでの活用が見込まれる。それに加えて、富士通がこの技術を活用して、トヨタとの協業へと拡大。Pulse IoTのベータ版カスタマーとして、次世代のクルマの可能性を探求。すでに、数百万台の自動車や、数十億台のデバイスを、制御、管理できる」と紹介した。
さらに、エンドポイントの統合管理を行なう「Workplace ONE」について説明。「コンシューマ製品のようなシンプルさと、エンタープライズレベルのセキュリティを実現している」としながら、このほど、新たにHP,incがWorkplace ONEをサポートすることを発表した。HP.incは、HP Device as a Service(DaaS)を通じてこれを提供する。 ビデオメッセージを贈ったHP,Incのディオン・ウェイスラー(Dion Weisler)社長兼CEOは、「VMwareのエンドポイント管理システムは、HP.incのマネージドサービスにとって非常に重要なものになる」と位置づけた。
一方で、クラウドへの取り組みについても言及。プライベートクラウドの観点では、「VMware Cloud Foundation Ver2.2」を発表。「最新のソフトウェア技術、ライフサイクル管理技術などが入っており、PCを自作するように必要な部分を持ってきて利用できるほか、すぐに組み立てられるキットのような形での提供が可能である」と説明した。
また、ハイパーコンバージドインフラストラクチャでは、vSANの実績を強調。「これまでに1万社以上で導入され、毎週100社以上が新規に導入している。また、vSAN ReadyNodeでは、12社から50機種以上が投入されている。vSANは最新のテクノロジーを最大限に生かせるものになる」と説明し、「この技術をもっともいい形で導入できるのは、VxRailおよびVxRackである」とし、HCI分野におけるデルとの緊密ぶりを伺わせた。また、最新のvSphere 6.5についても説明。「バックアップ機能が改善され、vSANの機能を取り入れており、セキュリティでも新たな機能を導入している」と述べた。