Cybozu Days 2017 Shanghaiの前日にあたる7月20日、上海市内ではkintoneの勉強会「kintone Café」が開催された。登壇したサイボウズ中国の伊東大輔氏と鈴木孝充氏は、中国におけるkintoneカスタマイズや東南アジアのビジネス動向をLTで披露した。
本来は標準機能?中国のkintoneカスタマイズ5選
kintoneユーザーのコミュニティであるkintone Caféが中国で行なわれるのは昨年の12月に引き続いて2回目。会場となったのはサイボウズ中国のパートナーであるTENSIN NETWORK(上海天進網絡技術有限公司)のオフィスだ。冒頭、「中国でよくやるkintoneカスタマイズ」というタイトルでLTを披露したのは、サイボウズ中国の営業部副部長として、パートナー開拓や案件相談などを担当している伊東大輔氏。まずは中国のkintoneビジネスの概況から説明した。
サイボウズが中国に進出して今年で10年が経つが、kintoneは販売を初めて4年で導入企業が300社を超えてきたという。用途のほとんどは営業管理と申請の電子化で、日本と大きくは変わらない。事例の内訳としては約半分が直販で、そのうち4割の60社では大小問わずカスタマイズが入っているという。カスタマイズ案件は現地のSE4名が対応しているが、中国ローカルのパートナー強化を見据え、さらに2名を追加していくという。
続いて伊東氏が披露したのが、中国でのkintoneカスタマイズ5選だ。まず前提として、これらのカスタマイズは中国向けの特殊な機能ではなく、本来であればkintoneが標準搭載してほしい機能だという。これに対してサイボウズ中国としては、日本チームと協力してプラグインを開発し、現地のニーズに応えていくという。
たとえば、現状のkintoneではルックアップ時にテーブルのコピーができず、購買申請の製品明細を購買精算にコピーするといった操作ができない。そのため、サイボウズ中国ではプラグインを開発し、コピー機能を追加し、編集の可否も設定できるようになっている。中国版のDevelopers Networkで公開する予定だ。
また、条件付き○○シリーズは、ある条件を満たした場合は、特定の項目を必須にしたり、項目自体を非表示にする機能。現状は単純な必須の有無しかないので、たとえば商談報告の目的が「提案」だったら、「予定日」や「予定額」の項目を必須にするといた設定ができない。こちらもExcelのような条件式を入れることで、設定できる拡張を設計中で、8月中に実装を完了したいという。
中国ならではのカスタマイズ案件としては、レートや税計算のための四捨五入への対応。現状のkintoneでは項目ごとに小数点設定ができないため、海外出張の申請で人民元と円、人民元と香港ドルとの換算を行なったり、あるいは商品によって異なる税計算を行なう場合、計算が合わないことがあるという。これに対して、今まではJavaScriptで四捨五入する関数を埋め込んできたが、サイボウズ中国ではより汎用的な計算式が埋め込めるよう仕様を検討しているという。
現在、検討中のものとしては案件型のSFAで必須となる「ルックアップ先にデータを書き戻す」や地域や製品などを絞り込める「多段階プルダウン」などのカスタマイズ例を紹介。サイボウズ中国としては、今後もパートナーやユーザーを巻き込み、現地のニーズを反映した開発を進めていくという。