オンキヨー&パイオニアマーケティングジャパンは8月7日、天然素材の桐を使ったスピーカーを開発。クラウドファンデングの「未来ショッピング」で先行販売を開始する。募集期間は8月8日~9月30日まで。
最新ユニットの性能を活かすため、桐素材に行きつく
「市場ニーズ」ではなく「技術シーズ」を形にするというコンセプトに基づき、コスト度外視の製品を開発した。「音魂を宿らせたい」とオンキヨーの開発者は言う。競合に勝ちたいではなく、このスピーカーで何を成し遂げたいかという想いを実現した製品だとする。「自然界で聞こえるような生々しい音」「日本人の持つ独特の感性を揺さぶる音」の再現に取り組んでおり、最新素材の「セルロースナノファイバー」(CNF)振動板の性能を最大限に発揮する材料を突き詰めた結果、桐の使用に行きついたという。
桐は和箪笥のほか、琴などの和楽器の材料としても知られる。
一般に、スピーカーシステムの開発ではキャビネットの響きを敬遠するが、この製品では桐製の箱の響きを積極的に出している。同時に響きが出すぎて音に濁りがないよう適度にコントロールする必要があるが、そのために内部にうろこ状の彫りを用意した。これは和太鼓などにも使われる仕組みだという。
本製品においては、筐体に桐を使用するのが最大の特徴だ。しかしもともと「桐ありき」で開発された製品ではない。天然素材のコーンの周りを天然素材で固める。これによって自然な音の再生に近づくのではないかという点にこだわった。
セルロース・ナノファイバーは、鉄より5倍強い(軽さも1/5)最新素材で、これをコーン紙として使用。そのコーティングや、中央パーツ(イコライザー)の接点などに和紙の原料であるコウゾや、針葉樹のパルプ材、そしてにかわなど天然素材を使用している。また、接着部分に塗布する墨は昨年発表した「SC-3」同様、奈良の老舗・古梅園の墨を利用している。これは桐の油を使ってできたススを集めたもので、数万円する墨だという。墨を利用することでS/Nなどの特性も改善されるそうだ。
本体の構造や響きを活かす、スタンドも独特だ。素材は北米産のタモ材で強固。スピーカーの響きを活かしつつ、筐体をしっかりと支える。生産も楽器を手掛ける工場を利用している。
デザインは和室にも洋室にも合うものとした。本体は小型だが、そのぶん居住空間への調和もしやすい。「このユニットで最適な響きを出す大きさはどのぐらいか」を基準に決めた。
クラウドファンディングのプランは2つあり、桐スピーカーとスタンドに加えて、アンプ/CDプレーヤー(R-N855/C-755)、ケーブル3m×2をセットにし、オンキヨースタッフが訪問して設置接続するものが、140万4000円。もうひとつは桐スピーカーとスタンドのみで129万6000円となる。ともに限定5セットの販売。
スピーカーは10cmノンプレスONFコーンと3㎝リング型の2ウェイタイプでインピーダンスは4Ω。出力音圧レベルは85dB。本体サイズは幅135×奥行き274×高さ289mm、スタンド部が240×奥行き333×高さ431mm。本体重量は約3.4㎏、スタンド重量は2.5㎏。