このページの本文へ

前へ 1 2 3 次へ

ReadyNASでオフィスを、仕事を進化させる! 第5回

LAN経由、インターネット経由でReadyNAS上のファイルを簡単にバックアップする

故障や災害に備えるReadyNASのバックアップ《ReadyDR、rsync編》

2017年07月31日 10時00分更新

文● 廣瀬治郎 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

提供: ネットギア

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

事故や災害に備えて遠隔地にデータを保管する

──あれ、何かお悩みですか? 難しい顔しちゃって。

 いやー、ReadyNASを使い始めてから、仕事で扱うファイルってホントに大切だなあとあらためて実感してるんだけどさ。そうすると、先月教えてもらった外付けハードディスクへのバックアップでも、まだ足りないんじゃないかと思い始めて。たとえばほら、大きな地震とか火災とか、そういうこともありうるでしょ。

──たしかに、オフィスが大きな被害に遭うような事態も考えておかないといけませんね。前回も少し触れましたが、そういう対策を「ディザスタリカバリ(DR、災害復旧)」と呼びます。

 大阪支社のほうにデータをバックアップしたいけど、そういう仕組みを作るのってけっこう難しそうだし、そもそもかなりコストがかかりそうだし……。

――ReadyNASでもインターネット越しに、遠隔地にデータをバックアップする方法がありますよ。しかも追加コストのかからない、標準機能でできるんです。

 なにッ! それ、教えてくださいッ!!

ITの災害対策には遠隔地へのデータバックアップが必要

 2011年の東日本大震災をきっかけとして、多くの企業が自社の災害復旧(DR:ディザスタリカバリ)対策を見直すことになった。仮に企業拠点が被災してもできるだけ早く業務を復旧し、従来どおりのビジネスに戻せるように備える災害復旧対策は、企業の規模を問わず欠かせない施策のひとつである。

 企業内で利用するファイルサーバー/NASも、ディザスタリカバリの中で保護すべきシステムのひとつと言えるだろう。もしも業務で利用するファイルが失われてしまったら業務が進められなくなるという実態は、これまで本連載で見てきたとおりだからだ。

 前回記事では、ReadyNASに格納されたファイルのバックアップ手法として次の5つの手法があることを紹介した。

(1)同一ReadyNAS上の内蔵ハードディスク
(2)ReadyNASに直接接続された外付けハードディスク
(3)同一オフィス内のReadyNAS/ストレージ
(4)遠隔拠点のReadyNAS/ストレージ
(5)クラウドサービス(Amazon S3など)

 前回は、このうち(1)(2)について解説したが、これらはオフィスが大きな災害に見舞われた場合にはあまり効果がない。あくまでも、ReadyNAS本体の故障に備えるためのバックアップだ。

 ディザスタリカバリを実践するのであれば、(3)以降の施策が必要となる。大規模な自然災害の場合は(3)も無力化する可能性があるが、オフィスの部分的な火災などには効果がある。また(3)(4)は、ReadyNASならば簡単な設定だけで実現する。それもふまえて、今回は(3)(4)を順に解説していこう。

新機能「ReadyDR」でLAN内のReadyNASにバックアップする

 (3)の「同一オフィス内のReadyNAS/ストレージ」は、「同一ローカルネットワーク(LAN)内のReadyNAS/ストレージ」と読み替えればわかりやすいだろう。実は遠隔拠点どうしでも、VPNで接続されている(同一LANとして構成されている)ネットワーク環境であれば、この手法でディザスタリカバリを実現できる。

 いちばん簡単かつ効率的な方法は、LAN内にReadyNASをもう1台設置して、最新の「ReadyDR」機能を利用することである(ReadyNAS OS 6.6以降のバージョンで利用可能)。もちろん、この「DR」はディザスタリカバリの意味だ。

 ReadyDRの特徴は、後述するrsyncのような一般的なバックアップ手法とは異なり、初回にフルバックアップ(全ファイルを転送、コピー)した後、2回目以降は「ブロック単位の差分データ」だけをバックアップ先に転送する点だ。

 本連載の第2回でも触れたとおり、ReadyNASでは「回数無制限のスナップショット」機能を備えている。これは、ReadyNASが採用するファイルシステム(BTRFS:バターFS)の備える技術で、あるファイルの内容が書き換えられた際に、ファイル丸ごとではなく「書き換えられた部分(ブロック)のデータだけ」を追加で保存する仕組みとなっている。

 ReadyDRでは、このスナップショット取得時に発生する差分データを取り出し、バックアップ先に転送する。バックアップ先では、この差分データを用いてフォルダ内のファイルを最新の状態に更新する。こうすることで、変更のあったファイルを丸ごと転送するよりもデータ容量が小さく済み、ネットワークにかかる負荷やバックアップに要する時間が少なくなるメリットがある。

ReadyNASではスナップショットベース/ブロックレベルのバックアップを行う(模式図)。転送データ容量が小さく、ネットワーク負荷やバックアップ所要時間を抑えられるメリットがある

 なおReadyDRは、バックアップ元とバックアップ先が1:1の関係となる(1:Nのバックアップはできない)。またファイルだけでなく、iSCSI LUNのバックアップにも対応している。

前へ 1 2 3 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事