クラウドファンディングで日本語化
初めてお会いした方から、なんのお仕事をされてるんですか? と聞かれたり、知り合いからも仕事はなんだっけ? と聞かれたりすることがよくあるんですが、フリーランスのなにかであるということ以外、自分でもよくわからないので返答に困ってしまいます。
このコーナーで毎週原稿を書いているし、電撃ホビ―ウェブでイベント速報を担当したり、アニメのムックやBDのブックレットなどの制作に携わったりしているんで、たぶんメインは編集&ライター業なんだと思います。が、ほかにもパートワーク誌のプロトタイプ製作やアニメの作画参考用モデルの製作、展示用ディスプレーやジオラマの製作などなど、模型製作系のお仕事もさせていただき、パートワーク誌については企画出しからギミック考案、監修、組み立てガイド制作などもしていて、本業はコレとひと口で言いにくいところもあります。
フリーランスになったときに作った名刺には企画・編集・執筆・造形と入れていて、これはフリーランスには与えられた肩書きがないので、やりたい仕事を書いておけばいいかなといった程度の認識だったんですが、まさにそのとおりになっている感じです。
ライターの仕事は幅広くて、あちこち飛び回っているような方も多いわけですが、ワタシはかなりのインドア派。外に出るのは打ち合わせや撮影の立ち会い、模型の納品、たまにあるイベント取材ぐらいなので、街中に出る機会があまりありません。キャンプやBBQも好きだしクルマにもよく乗るんでアウトドアなところも結構あるんですが、それはそれでアウトドア過ぎて街には行かないので、仕事で出るときはついでにお店巡りをしてしまいます。
必ず寄るのが新宿西口の世界堂とヨドバシカメラホビ―館。2ヵ所の間は歩いて10秒ぐらいしか離れていないので、ワタシ的に大変好都合な立地です。
そのヨドバシで以前から気になっていたモノがありました。BONDICという紫外線で固まる液体プラスチックなんですが、タイミングが悪いのかいつも品切れで、売り場で流れている宣伝ビデオを見るばかり。最近も交換用リフィルはあるものの、紫外線ライトがセットになったスターターキットは売っていませんでした。
それが先日、少しだけ時間があったのでチラリと立ち寄ってみたところ、なんとスターターキットを発見! 発売から10ヵ月も経ってようやく手に入れることができました。
本当に4秒で硬化
重ね塗りもでき透明度も抜群
BONDICはカナダの接着剤メーカーが開発したそうで、昨年クラウドファンディングのMakuakeで資金を集め、日本語版が発売になりました。紫外線で硬化する樹脂は以前から売られていますが、BONDICを使ってみたいと思ったのは、その硬化時間の短さにあります。数十秒から数分かかるのが普通なのに、わずか4秒で固まるとのこと。厚さによっても異なると思いますが、かなりの短時間っぷりです。
スターターキットは樹脂の入ったBONDICカートリッジと紫外線LEDライトのセット。クリアオレンジのホルダーにセットされ、1本のペンのような外観です。こういったツールには珍しく収納ケースにもお金がかけられていて、缶ペンケースのような金属製のケースに入れられています。
公式サイトのトップページでは接着剤とされていますが、よくある質問を見ると、「欠けた部分をいわば全くの無から作ることもできるので、接着剤とは別物」とか「従来の概念でいう接着剤ではありません。持ち運びとフリーハンド加工のできる3Dプラスチックプリンタです」など、接着剤というよりは液体プラスチックである点を推しているように思えます。
ワタシが用途として考えていたのも主としては接着剤ではなく、透明な液体プラスチックであることを利用した模型パーツの透明化です。たとえばずいぶん前から作っていていまだに作りかけのハンヴィーのラジコンは、強度を保つためかライト類がボディーと同じ不透明なプラパーツになっています。これを型取りしてBONDICで複製すれば、よりリアルになるという寸法です。
お湯で温めると柔らかくなる型取り用樹脂をライト部分に押し付け、水で冷やせば型取りは完了。次に型の表面にBONDICを塗っていきますが、厚さが1mmを超えると硬化に時間がかかるそうなので、1mm以下になるように薄く塗り広げます。紫外線を当てるまでは液体なので、こういった作業を落ち着いてゆっくりできるのが利点です。
BONDICを塗ったら紫外線LEDライトを照射します。この付属の紫外線LEDライトはスイッチが超小さくて固く、操作しづらいのがちょい残念。数秒間オンにするだけなんだから押しボタンだったらいいのに。照射時間はとりあえず規定の4秒にしてみたらうたい文句どおり見事に固まりました。BONDICもライトも肝心の性能は思った以上に優秀です。
硬化したらもう一度BONDICを塗り重ねます。BONDICのもうひとつの利点は、こうやって塗り重ねることで厚みのある物を作れるところ。新しく塗った部分は元の部分と完全に一体化するので、シマシマになったり曇ってしまったりという心配はありません。もう一度硬化させたら透明パーツの完成です。
そのほかBONDICの用途としては様々な物の補修があります。穴や傷の充填はもちろん、粘度がある程度高いため、フチが欠けてしまったような場合でも盛り上げるように塗って固めることが可能です。
また、低電圧、低電流の場所であれば絶縁性能があるそうなので、スマホの充電ケーブルの付け根が裂けてきてヤバくなってきたときなんかも補強として使えます。こないだMacBook Airの充電ケーブルの付け根がまさにその状態で、いつの間にか裂けて断線してしまいました。そうなる前に補強しておけばよかったなぁ。
ちなみに、パッケージではAC50V、DC120Vまで適用と書かれていますが、ウェブサイトでは24V以下、1A以下となっていました。まぁスマホケーブル程度にしておいた方が無難かなと思います。
接着剤としては、固まっても透明のままなので飛行機のキャノピーやライトなど透明パーツの接着にいいかもしれません。普通の接着剤だとうっかりハミ出して表面がガビガビになってしまったり、瞬間接着剤だと白く曇ったりすることがありますが、BONDICならハミ出したら拭き取ればいいし、白くなることもありません。ハンヴィーのライトを接着するときに試してみようと思います。
硬化不良で表面がベタベタになるようなこともなく、硬化後の穴あけや加工、研磨、塗装も可能で、ワタシ的にはかなりお気に入りです。パーツ複製に補修に接着にとガンガン使っていきます! と言いたいところですが、スターターキットや交換用のカートリッジは4g入りで約80滴ぶんしかありません。ガンガン使っていたらあっという間になくなってしまうので、ケチケチしながらここぞという場所で使おうと思います。
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