Huaweiといえば、国内では主にSIMフリーをはじめとしたスマートフォンで知られている。だが約1年前からじわじわと進めているのがPC分野へのプッシュだ。Huawei幹部は6月はじめ、自社PCライン「Huawei MateBook」の最新機種を発表するとともに、「3〜5年でトップになる」と野心を見せた。
スマートフォンからPCへの横展開を図るファーウェイ
2016年の「Mobile World Congress」での、満員のイベント会場で同社のコンシューマービジネスグループを率いるRichard Yu氏が発表したのは、スマートフォンでもスマートウォッチでもなく「HUAWEI MateBook」だった。同社初のWindowsマシンで、OSはWindows 10で、IntelのCPU(第6世代Intel Core mシリーズ)を採用した。
Yu氏は、「(モバイルの時代だが)仕事はPCなしには無理」とPCメーカーやMicrosoftが自分たちの正当性を主張する際に口にするのと同じようなメッセージを伝えながらも、「野暮ったく、重たい」とPCの現状を批判した。一方でHuaweiはスマートフォン分野でワンタッチの指紋認証、メタルフレーム、性能などの”イノベーション”を行なっていると続けた。
スマートフォン分野でのデザイン、クラフトマンシップ、ユーザー中心の技術、パフォーマンスをPCにもたらすと宣言してYu氏はMateBookを発表。「Business 3.0に向けた新しい時代のモバイル性と接続性」と位置付けた。
それから1年3ヵ月後の今年5月、HuaweiはドイツでMateBookシリーズを拡充し、13インチのクラムシェル型「MateBook X」、15.6インチの「MateBook D」、そして2in1タイプの「MateBook E」を発表した。欧州で夏にも発売する。
最新のMateBook3機種は、6月はじめに上海で開催された「CES Asia」でもコンシューマービジネスグループCOOを務めるWan Bio氏により披露され、中国市場では発売を開始した模様だ。
参入した市場では世界トップを目指す
「3〜5年でトップを目指す」という言葉は、このWan Bio氏のもの。同氏がCNBCの取材に対して述べた言葉だ。「我々は参入すると決めたら、常にグローバルでリーダーになることを目指す」とも語っている。なんとも大胆だが、スマートフォンではYu氏が1年ほど前、「4〜5年でトップになる」という野心を語っている。
MateBookは、Yu氏が発表時にアピールしたように、持ち運び前提のスマートフォンとタブレットで培ったノウハウが入っている。たとえば、指紋センサーからの起動、小型・軽量の充電器、画面比率、色域などだ。デザインでは、アルミ筐体、キックスタンド、スタイラス(クリッカー、ポインターにもなる)のMatePenなどだ。
最新機種を見ると、MateBook Xは世界最小をうたう13インチマシンであり、重量は約1.05kg。A4の紙より小さく、厚さは12.5mm。Gorilla Glassで覆われたディスプレーは縦横比が3:2で、解像度は2160×1440ドット。さらに表示域は88%とスマホのような狭額縁だ。一方で、画面はタッチ対応はない。バッテリー持続時間は10時間。USB(Type-A/C)、HDMIなどを備えた小型化された新型MateDockも用意された。
では、スマホからPCという新鮮なアプローチが、市場ではどのように受け入れられるのか? Huaweiは初代MateBookの数値を公開していないが、おそらく3機種を出したこれからPC市場向けのプッシュを本格化させるのだろう。Huaweiがスマートフォンで狙い撃つApple、SamsungはどちらもPCを出している。なお、モバイルからPCというアプローチはその昔、Nokiaも開拓済みだ。
Forbesの最新のブランド調査で、Huaweiは88位に入った。中国では唯一のランクインだ。スマートフォンで培っているブランドバリューによりMateBookもそれなりの注目を集めておかしくない。
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