東芝の有機ELテレビは地デジもキレイ! 画質を優先したパネル傾斜2度のこだわりとは!?
2017年06月15日 12時00分更新
階調性が向上し、映像の品位が大幅に向上
地デジの美しさも印象的。
65X910でその映像と音を確認させていただいた。筆者は発売直後のアップデート前の映像もじっくりと確認したことがあるが、アップデート後は、明らかに暗部の階調性が向上し、暗いシーンの多い映画などでも映像の見通しの良さが大きく向上していた。
単純に暗い部分が見やすくなっただけでなく、暗い部分の色がより豊かになっていることに感心した。明暗のきめ細かさだけでなく、色のきめ細かさまでも向上し、結果としてより色鮮やかな映像になったと感じた。
黒挿入を行なう「ハイクリア」も試してみたが、映像の動きに伴うボケ感がなくなり、より鮮明な印象になる。メガネを変えて視力が上がった感じになる。
これは不思議なほどだったが、ホールドボケの改善だけでなく階調性も向上したことで映像のディテールの再現性も向上していることがよくわかった。この鮮明さは大きな強みだと感じた。
また、地デジ放送も見てみたが、65V型の大画面でも実に鮮明だ。そしてテロップ文字の周辺に目立ちやすいモスキートノイズもよく抑えられているし、動きの激しい場面で目立つブロックノイズもほとんど気にならない。地デジ放送がこれほどきれいなのは、かなりの驚きだ。
そして、音声もなかなかのもの。下を向いたスピーカー特有の不明瞭さもなく、声もクリアに聴こえるし、音楽を聴いても中低域に厚みがあって聴き応えは十分。気軽にテレビドラマなどを見るならば、十分以上の音になっている。
細部まで徹底的にこだわった作りに
開発陣の熱意を感じる。
有機ELの薄さを活かしたデザインも見事なものだが、ここにもかなりのこだわりが詰まっている。
X910シリーズは前方にスタンドが飛び出していないデザインを採用したが、そのために画面全体の角度は2度傾斜している。これも2度と3度の傾斜を検討し、画面が傾斜している感じがない2度を選んだ。
傾斜を3度とすればスタンド部分の重量も軽量化できるなどコスト削減もできたのだが、映像のためにあえて2度にこだわったという。
結果的に言えば、スタンド部分の重量増や傾斜のためにボディー全体の強度を高めたことは音質にもいい方向に働いたとのこと。ボディーの不要な振動が減ることで、音の明瞭度が高まったというわけだ。
こうした数々のこだわりが細部にまで徹底され、X910シリーズは自信の一作と言えるモデルとして完成した。
もちろん、どのメーカーもこうしたこだわりの作りは同様だし、同じ有機ELでもその映像と音にはそれぞれに個性があった。
話題の有機ELテレビだけに、多くの人が店頭に足を運ぶと思う。現在、4社の有機ELテレビが出そろった形だが、映像と音をじっくりと確認するだけでなく、細部までこだわったデザインにも注目してほしい。
見慣れた液晶テレビとはひと味違う、新しいテレビに新鮮な驚きを感じるはずだ。
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