Type-C端子にSIMスロットも内蔵してマイナーチェンジ
新ThinkPad X1 Yoga 試用レポート OLEDはキレイで軽くて省電力だっ!!
2017年06月02日 12時00分更新
米国では1月のCES2017で、日本でも2月8日に新ThinkPad X1シリーズが発表となった.Carbonはすでに出荷されており、Yogaは当初4月出荷予定となっていたが、5月末現在レノボのサイトでは「Coming Soon」という表示(しくしく).とはいえ、出荷版モデルが試用できたので近日出荷を願いつつレポートしよう.
2017年版のX1 Yogaは2世代目である.Carbonのほうは、狭額縁の採用に伴って、ボディも新設計となり、軽量化も果たし、いわばフルモデルチェンジしたのだが、Yoga2のほうは、ボディは変わらないマイナーチェンジだ.とはいえ、単にCPUが1世代上がっただけではなく、いろいろと変化している.
TPYはレノボのパフォーマンス・モバイルの
フラッグシップモデルなのである
レノボの14インチディスプレイを搭載した「パフォーマンス・モバイル製品」は、X1 CarbonとX1 YogaそしてT470sの3機種である.テレワークで本気で仕事に使うための最適なノートPCというわけだ.CarbonとT470sは普通のクラムシェル型ノートだが、Yogaはその名のとおり、ディスプレイ部が360度回転する機構を持ち、テント型やタブレット型としての活用もできる万能選手である.
X1 Yoga2のボディサイズは、設置面積は前モデルと同じで333×29ミリだが、厚みが少し増えて、最大が16.8ミリからOLEDモデルでは17.4ミリ、LEDでは17.05ミリと増えている.
もともと、X1 Yogaはディスプレイの回転にしたがって、キートップが収納されるしくみを持っていた.古くは2013年の秋に発表となった「ThinkPad Yoga」で初めて採用された機構で、X1 Yogaに引き継がれたものだ.
この「キートップ隠し機能」が今回変更となった.前モデルまでは、キートップの回りの部材が浮き上がることでキーを隠すしくみだったのだが、今モデルではキートップが沈むようになった.この機構の変更によって厚みが増したのかもしれない.
キーボードの配列はやはりCarbonと同じで、F10にブルートゥースが、11に入力設定が、12はユーザー定義で、手前のスペースバーの並びの右側のPrtScにFnで「SnippingTool」起動が加わった.ちなみにボディの色はCarbonと同様に黒とシルバーの2種類が用意される.
今回の試用マシンの基本スペックは、コアi7-7500Uにメモリ8GB、SSD256GBである.ディスプレイは3種類から選択可能.IPS液晶がフルHD1920×1080ドットと2560×1440ドットの2種類で、OLED(有機EL)が2560×1440ドットとなる.また、Carbonと同様に、日本でもLTEモデル内蔵モデルが用意されるので、格安データSIMで常時接続が可能だ.
先代と同じく、スタイラスペンは本体に収納できるようになっていて、自動的に充電される仕組みなので、ユーザーは電源の心配をする必要はない.ちょっと細めだが、長さは十分あるので、軽快に使うことができた.追従性も十分である.
インターフェースもCarbonと同様にThunberbolt3のType-Cがついに採用となり、ACアダプターもここに接続する.黄色い四角い端子を持つ旧来モデルのアダプターは使えなくなるのがちょっと残念なのだ.
ちなみにCarbonはC×2+A×2だが、YogaはType-A端子を3つ搭載しているのでC×2+A×3と強まっている.LAN端子はCarbonと同様のミニ端子なので付属のシッポを接続しないといけなのが、ちょっと面倒なのだ.
重さはちょっとアレだが
LTEも内蔵で満足なのだ
持ち歩いて使ってみたのだが、本体の重量バランスはさすがにうまくつくられていて、手で持ち上げたときには重い感じはしない.とはいえ約1.4キロという重さは、カバンに入れるとづっしりとくる.
使っていてCarbonと差を感じるのは、フタを開けるときと閉めるとき、途中で重みが増す部分があることだ.前述のように、キートップの上下動のために、ディスプレイのヒンジ部分にギミックが仕込まれているため、出し入れ時にトルクがかかるのである.
慣れれば問題ないレベルだが、元々、世界で一番キモチのいい開け閉め感(個人の感想です)のThinkPad様だけにちょっと残念である.
そのかわり、フラットなキーボード面にキートップが浮くというデザインながら、キートップの手油がディスプレイ面に付着することもなく、気分はいいのだ.
自分はThinkPadを使うときには、キーボードの赤いポッチ「トラックポイント」しか使わない.タッチパッドはなくてもいいのだが外せないので、設定にてOFFにしている.X1 Yogaの場合はCarbonと違って画面のタッチが利くので、ますますいらないのである.
SIMはいまどきとしてはちょっと大きめの「マイクロ」サイズで.液晶下の背面部分にフタがあり、マイクロSDカードスロットと左右に並んでいる.Carbonでは2段重ねだったが、こちらのほうがわかりやすい.
キーボードでFn+F11を押すとLenovoSettingのメニューが表示される.キーボードやバッテリー、カメラ、ディスプレイの細かい設定が可能だ.Windows標準の設定では足りないことがすべてここでできるのは便利なのである.
たとえば、「有機EL電源設定」ではディスプレイの一部を暗くして電力消費を削減することができる.また、タスクバーなど変化の少ない部分を暗くして焼きつきを防ぐ効果もある.
ベンチマークテストは標準的速度
SSDはちょっと速め
はい、みんなの大好きなベンチマークテストのコーナーです.とはいえ今回試用したX1 Yogaはコアi7-7500Uを搭載したフツウのマシンなので、予想どおりの結果となった.
CineBenchではOpenGLが45.33、CPUが358.3DMarkのFireStrikeが988ということで、NECのLaVieZEROや東芝のdynabookVといった、7500U搭載ノートとほぼ同じ値となった.X1 Carbon(2017モデル)は、7600Uを搭載していたので、これより約10%速かった.
SSDの速度も、最高レベルの値を出したCarbonほどではないが、他社の7500U搭載ノートよりは速めという結果.とりあえず、PCIe+NVMeの実力が発揮されている.
CrystalDiskMarkのシーケンシャルファイルの読み込み速度は2~3倍速い.試用モデルのSSDは東芝のXG4シリーズ(THNSF5256GPUK)だった.Carbonの試用機にはサムスンの最新モデルPM961シリーズ(MZVLW512HMJP)が装着されていたので、その速度差かもしれない.
OLEDなら
軽くてバッテリーも長持ちなのだっ!!
バッテリー駆動時間のカタログ値は約15.6時間で、重さは1.36キロと、Carbonとほぼ同じ駆動時間で230グラム重いことになる(OLEDモデルの場合).
IPS液晶WQHDモデルでは重量が1.43キロ、バッテリーは11.5時間駆動となる(ともにJEITA2.0).つまり、同じ解像度ならOLEDのほうが5%(90グラム)軽くて、35%も省電力なわけだ(販売代理店モデルのスペック).
もちろん、Carbonと比べると、回転ヒンジの強度をもたせたり、キートップを出入りする機構があったり、ディスプレイのタッチセンサーもあったりで、重くなるのは仕方がないのである.
というわけで、みんなの大好きなBBenchを、いつもどおり、輝度最大・省エネOFFのいちばん電力を消費する状態で走らせたところ、約3時間30分稼働した.これはCarbonの3時間10分より長い.搭載しているバッテリーは57と56Whとほぼ同容量であるからして.CPUの速度差と、液晶とOLEDの差が効いたかたちである.
いま買えるOLEDノートとして
非常に欲しまるのだ
X1 Yogaの魅力は、やはり有機ELディスプレイが選べるというのがとても大きい.真紅や新緑の緑、青空といった原色系の彩度はとても高く感じる.オフィス環境で最大輝度にしていると、コントラストが高すぎて目が疲れるくらいメリハリが効いている.写真やビデオをいじるためのモバイルノートをお探しなら、ぜひ一度実物を見てほしいのだ.
ウィンドウズマシンに画面タッチはいらない運動を展開していたオレとしては、まだフルHD液晶モデルしかない新X1 Carbonに、ぜひともWQHDのOLEDを積んでほしいのである.逆にYoga2をフラッグシップとするならば、コアiの7660Uと32GBメモリと1TBSSD積むのでもいいんですけど.高そうですけどね.