日本マイクロソフトは、2in1の新製品「Surface Pro」など、一連のSurfaceシリーズの発表会を開催した。発表会に登壇した米Microsoftのコーポレート バイスプレジデント マイクロソフト デバイス担当Panos Panay氏は、日本のSurface市場が47%の成長を遂げたほか、Surfaceの開発に日本でのビジネスの経験が影響していると語り、日本を重視する姿勢を見せる。
Surface Proは「Surface Pro 4」の後継機種となり、今回から数字が付与されなくなった。そのため、「The New Surface Pro」と表記されており、Microsoft社内では旧モデルとは「New」のあるなしで区別されているようだ。
基本的なデザインは従来通りで、12.3型2736×1824という高精細な3:2ディスプレーに、CPUはCore i7/i5/m3、メモリーは最大16GB、ストレージは最大1TB SSDなどを搭載。背面のキックスタンドで自立し、オプションの薄型キーボードを装着するというスタイルは変わらない。
Panay氏は「800以上の新しいパーツ」と説明し、内部的には既存モデルから大きく進化していることをアピール。「再設計でディテールを変えた。微妙だが、それが大きな違いを生む」とPanay氏。背面のキックスタンドも、従来よりも倒れるようになり、ほとんど平面のようになってペンを使ってお絵かきなどがしやすいスタジオモードを搭載した。
Core i5モデルでもファンレスを実現した新たな内部機構、約13.5時間と大幅に向上したバッテリー駆動時間、ディスプレーの高い色再現性など、着実に進化を遂げ、完成度がさらに高まっている。
日本にも縁が深いというPanay氏は、「日本のクラフトマンシップ」を繰り返し語り、Surface Proの「美しさ」の実現に注力した点をアピールする。
オプションの「Signature エディション タイプ カバー」は、アルカンターラ素材を使ったことで肌触りの良さと耐久性の高さを実現。キーボード裏面はアルカンターラ素材そのままで、キーボード面にはアルカンターラ素材の上にコーティングをすることで耐久性をさらに向上させたという。
同じくオプションのSurfaceペンは4096段階の筆圧レベルに進化し、傾きも検知できるようになった。レイテンシーも21ミリ秒に高速化され、より自然な書き味になったとしている。
ハードウェアの性能としては、比較対象としてiPad Proが紹介され、「1.7倍高速」(Panay氏)だとしている。
Surface Proの店頭想定価格はCore m3、メモリー4GB、SSD 128GBで10万5800円(税別)。Core i7、16GB、1TBで31万5800円(税別)など。予約は5月26日から、発売は6月15日からとなっている。また、国内でも秋にはLTEを搭載したモデルを投入する。LTEモデルの登場が遅くなるのは認証の取得などが原因で、もともとのスケジュール通りの発売だという。
クラムシェルタイプ「Surface Laptop」も国内発売を発表
Surfaceシリーズとしては初めて、純粋なクラムシェルタイプの「Surface Laptop」も国内発売が決まった。13.5型2256×1504ピクセルの3:2ディスプレーを搭載し、CPUはCore i5を搭載する。メモリーは最大8GB、ストレージは最大256GB SSDとなっている。
Surface Laptopは、「カスタマーからの要望が多かった」という一般的なクラムシェルタイプで、ディスプレーの取り外しはできないもののタッチパネル対応。大きな特徴は、デスクトップアプリが動作せず、Windowsストアアプリのみ対応の「Windows 10S」を搭載する点。
教育機関向けのアピールは最小限で、国内では比較的幅広いユーザーをターゲットにしているようだ。Surfaceシリーズに共通したクラフトマンシップによる「完璧な美しさ」をPanay氏は強調し、「もっともバランスの取れたノートPC」だとする。
Panay氏は日本語で「トキメキ」という言葉を口にして、そうした魅力を感じるマシンを目指したという。ディスプレーを閉じるときに聞こえる「音」にもこだわっており、「素晴らしい音がする」と自賛する。
ライバルとなるのはMacBook AirやMacBook Proで、より軽く、より高速なノートPCだとアピール。バッテリー駆動時間は約14.5時間と長時間寿命を実現。キーボード部にはSurface Proと同様にアルカンターラ素材を採用した。予約開始は6月15日から、発売は7月20日から。価格はCPUがCore i5、メモリー4GB、SSD128GBで12万6800円(税別)、Core i5、8GB、256GBで14万6800円(税別)。
デジタルキャンバスとしても利用できる、デスクトップ型「Surface Studio」
さらに、デスクトップ型の「Surface Studio」もようやく国内投入が決定した。「ゼログラビティ」と表現される滑らかにディスプレーが倒れる機構を搭載し、デジタルキャンバスとしても利用できる。
Surfaceペンやダイヤルを活用して「全く新しい仕事のやり方を作り出せる」(同)製品として位置づけ、あらゆるディテールにこだわった製品だとする。
価格はCPUがCore i5、メモリー8GB、64GB SSD+HDD 1TB、GPU GeForce GTX 965M 2GB GDDR5で店頭想定価格38万4800円(税別)、Core i7、32GB、128GB SSD+HDD 2TB、GeForce GTX 980M 4GB GDDR5で店頭想定価格52万9800円(税別)。
働き方改革、テレワークの進展といった環境の変化が追い風
日本マイクロソフトの平野拓也社長は、法人市場からの2in1需要が高まっており、働き方改革、テレワークの進展といった環境の変化も追い風になって、「Surfaceが最適なデバイス」とアピール。今後のLTE対応も法人向けに重要な機能として位置づける。また、学生向けにもタッチデバイスが重要で、教育現場のデジタル化の進展に貢献できるとした。
Panay氏は、日本市場が世界のSurfaceの売上トップ3に入る一大市場で、Surfaceを販売する小売店の世界トップ10のうち7つを占めるなど、日本市場の重要性を強調する。
Surfaceの登場で、落ち込んでいたプレミアムPC市場が拡大
OSメーカーであるマイクロソフトがSurfaceを開発することについては、Windows PCを製造するパートナー企業の販売に影響があるとの見方もあったが、Panay氏は、Surfaceの登場で、それまで落ち込んでいたプレミアムPC市場が拡大し、Windows PC市場全体が拡大したとの見方を示した。SurfaceにインスパイアされてPCメーカーが新たなPCを開発する、といった好循環が生まれていると語っていた。