auは東京・西新宿で次世代通信の「au 5G」体験デモンストレーションを実施した。今回の5G通信デモではバスに乗車し、移動しながらの8K映像生成ストリーミングやバスの挙動に追従する映像合成VR体験、動画の瞬間ダウンロードなどが体験できた。
デモ前の説明会には、KDDIモバイル技術本部シニアディレクターの松永 彰氏が登壇。「デモを通じて、5Gの未来ではこんなことができるということを伝えたい」とコメント。auは2017年2月に国内初となる、都市部での28GHz帯ハンドオーバーに成功している。
松永氏は5G通信の特徴として3つの利点を挙げる。ひとつは4G通信の10~20倍高速な大容量20Gbpsの高速通信。さらに無線区間で1msという低遅延。また、平方メーターあたり1デバイス/平方キロあたり100万デバイスに対応する多接続性がある。
auが5Gで実現したいこととして、松永氏は「エンターテイメント」「エデュケーション」「セキュリティー」と語り、さまざまなパートナーと実証実験を開始しているとコメント。また、今回バスに搭乗して実施する実証デモでは松永氏が挙げた5Gの特徴のうち「高速・大容量」と「低遅延」を体験できるようになっていた。5Gの通信速度は「3.5Gbpsあたりでピーク速度は13Gbps前後」(松永氏)。
東京・西新宿のKDDIビルの前には28GHz帯を利用するエリクソン製の5Gアンテナが10mの高さで2+1基(VR映像配信用1基)設置されており、都庁付近のバス周回コースのエリアをカバー。取材日は豪雨に見舞われたが「28GHz帯は豪雨でも影響はなかった」(松永氏)。
バスには5Gアンテナが設置されておりKDDIビル前の5Gアンテナと通信。まず最初のデモは、8K映像を4本同時に配信する8Kストリーミングサーバーから車載5G端末に映像を配信、4つの映像の切り替えのほか任意の視点からの映像をスムーズに合成して自由視点でスポーツ観戦できるもの。バスが移動中にも映像は途切れず、さらに手元のゲームコントローラーで自由に視点を変更できた。
続いてのデモは5Gの低遅延性を生かしたVR体験。VR視聴にサムスン電子の「Gear VR」を利用し、バスの挙動とGPSの位置情報に応じてVR映像を生成、VR映像はauがサポートする月面探査チーム「HAKUTO」のローバーによる月面移動だ。バスの移動速度に合わせたVR映像を体験しつつ、周囲を自由に見渡せた。
最後のデモは大容量コンテンツの瞬間ダウンロード。4G LTE回線を用いて9本の動画(計500MB前後)の同時ダウンロードを開始して、途中で5G回線に切り替えるもの。5G回線に切り替わった瞬間にダウンロードが完了する高速通信を体験できた。
松永氏は「5Gはまだ仕様も固まらずチャレンジングなところが多いが、現在の4G LTEでは実現できなかったことを実現する5Gで安全安心な社会に貢献し、社会基盤を構築していく」と語った。