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モバイルデバイスのカメラで書面を撮影、迅速かつセキュアに収集

キヤノンITS、製薬企業のMR向け副作用報告支援システムを発売

2017年05月17日 10時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 キヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)は5月17日、製薬企業のMR(医薬情報担当者)向けの副作用報告支援システム「PVLink Camera Report」の販売を開始した。医療機関から収集した医薬品の副作用情報を、モバイルデバイスのカメラを使ってセキュアかつ迅速に社内安全管理部門に報告できる。

「PVLink Camera Report」の概要

 国内の製薬企業は、医薬品の副作用によるものと疑われる症例等を確認した場合、独立行政法人である医薬品医療機器総合機構(PMDA)にその情報を報告することが義務づけられている(重大な副作用の場合は48時間、72時間。この副作用情報は、一般的には医療機関を訪問する製薬企業のMRが書面で収集し、自社内の安全管理部門に情報を一元的に集約して、情報の評価や再調査を経たうえでPMDAに報告される流れとなっている。

 そのため、MRから安全管理部門への副作用情報報告は迅速かつ正確、そして安全に行われなければならない。しかし現状では、外出先のMRからの報告にはFAXやEメールが使われており、FAXの場合は「送信できるコンビニエンスストアが見つからない」「原稿の置き忘れ」「受信したFAXが不鮮明で内容が読み取れない」といった問題が、またEメールでも「誤送信」「ワークフローの複雑さ」「送信作業の繁雑さ」「デバイス上に機微情報のデータが残る」といった問題があった。

現在のワークフローにおける問題と、PVLink Camera Report導入後のイメージ

 PVLink Camera Reportは、このMRから安全管理部門での副作用情報報告を支援するソリューションとなる。具体的には、MRが持つモバイルデバイス(iOS)向けの「報告アプリ」と、アプリから送信される画像ファイルを受信し、PDFファイル化するとともに、あらかじめ設定されたルールに従ってフォルダ分類する「受付システム」で構成される。

 報告アプリでは、医療機関から収集した副作用報告書面をカメラ撮影し、ワンタップで報告書画像を受付システムに送信できる。撮影画像の台形補正処理機能、見開き画像の自動切り分け、薬剤名などの入力も可能。送信先は固定されているため誤送信のおそれがなくなり、送信後は撮影画像はデバイス上から自動消去される。

報告アプリの画面遷移イメージ。必須入力項目はカスタマイズ可能

 また受付システムでは、報告アプリから受信した画像データを1つのPDFファイルに結合し、指定のファイル名/フォルダ名(たとえば日ごと、薬剤ごとなど)で保存する。同時に、報告者や社内関係者(安全管理部門や報告者の上司など)に受領連絡メールを自動送信する。

 PVLink Camera Reportの税抜価格は、ベースライセンス(MR100名分のライセンスを含む)が300万円、MR100名分の追加ライセンスが50万円。また年間保守サービスは製品定価の20%としている。

 キヤノンITSでは、製薬企業とPMDAの間の副作用報告EDIソリューション「EDI-Master DEX for Medical」において、大手製薬企業の大多数である80社以上での導入実績を持つ。今後、今回の製品をはじめ、製薬企業向けの周辺ソリューションとしてPVLinkシリーズを展開していく方針。他業界を含むEDIソリューション関連事業全体で、「2020年に年間売上高25億円を目指す」としている。

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