実際の通信速度とは別に、ドコモの「キャリアアグリゲーション」で実現される下り最大速度は数百Mbpsということになっている。
モバイルルーターだけでなく、気がつけばスマートフォンで下り最大500Mbpsという機種も登場。さらに高速化したキャリアアグリゲーション対応機は、格安SIMユーザーに恩恵があるのかどうか調べてみた。
周波数帯を束ねて高速通信をする「キャリアアグリゲーション」
まず、最初に簡単にキャリアアグリゲーションについて説明しておきたい。簡単に言ってしまうと、LTEの通信速度にも限度があり、それをさらに高速化するために、2つ以上の周波数帯を束ねて通信するというものだ。
また、異なる特性の周波数をつかむことで、電波状態の悪い場所であっても、よりつながりやすい電波で通信できる。このため、格安SIMなどでもアドバンテージになる。
キャリアアグリゲーションで高速通信を行なうためには、端末側が対応しているのはもちろん、基地局側も対応、つまり、対応エリアに入っていることが条件となる。
今回は3つの周波数帯を束ねて通信でき、しかもより1波あたりの通信速度が速くなる256QAMに対応する「Xperia XZ」(SO-01J)を使ってみた。
下り最大500Mbpsの通信ができるとされ、従来の機種と比較して、キャリアアグリゲーション以外でも高速に通信できることが期待されている機種だ。
通信を束ねることのほか、Xperia XZで採用された256QAMの通信は、通常のLTEが64QAMであることに対して、1つの周波数を使って同じ時間内に送れるデータが多くなる。それはデータの伝送速度が速くなることと一緒だ。
そもそも低速な格安SIMで意味がどれだけあるのか?
では、キャリアアグリゲーション対応機は格安SIMに恩恵をもたらしてくれるのだろうか。
ドコモの回線を使った格安SIMでは、ドコモとエリアが同じだけでなく、キャリアアグリゲーションなどの通信もそのまま利用でき、高速化が期待できることになっている。
ただし、これまで格安SIMの通信速度を見てみると、キャリアアグリゲーションの効果がある無線通信区間の速度よりも、ドコモのネットワークの先、インターネットへの接続部分が詰まってしまい、速度低下を引き起こしていることが多いと見られる。
たとえば、昼休み時間帯に1Mbpsを切るような速度低下を起こしていても、別の格安SIMやドコモ契約のSIMでプロバイダーにspモードを使った場合は、数十Mbpsの速度が出ることがある。つまり、無線通信区間をどれだけ速くしても、その上流が詰まってしまっているのでは意味がない。
この部分のスループットがキャリアアグリゲーションで実現する速度よりも高速になってはじめて、キャリアアグリゲーションの意味があると言える。
具体的には、キャリアアグリゲーションなしでは、下りが80~90Mbpsが上限と思われ、これ以上の速度を出すためには、その上の部分が順調にデータが流れている必要がある。

この連載の記事
-
第278回
スマホ
大容量モバイル回線があれば固定回線の導入は不要なのか、コスト面から考えた -
第277回
スマホ
店頭で「1円」と大きく書かれるiPhone 16eは買いか? iPhone 15や16の価格からも考える -
第276回
スマホ
総務省が携帯料金見直しの解説サイトを構築 一般の人はこれを見れば、見直しや乗り換えは簡単にできるのか? -
第275回
スマホ
IIJmio&mineoで20GBが月1000円以下で半年使える! 新プラン発表より注目すべきはキャンペーン内容 -
第274回
スマホ
最新のGalaxy S25がソフトバンクで「月3円」! 本当に安く買えるのか、実際にかかる金額を計算する -
第273回
スマホ
約3万円でFeliCa対応のOPPOの新エントリー機「OPPO A3 5G」はメイン機として使え、回線マニアも納得の格安機種 -
第272回
スマホ
2025年のモバイル業界や格安SIMはSIMだけ乗り換えがさらに広がる? 値下げよりサービス内容や通信品質が問われる時代に -
第271回
スマホ
2022年12月に買ったauで「月1円×24回」のPixelスマホを返却した タイミングを逃すと高額支払い -
第270回
スマホ
今、1万円台~5万円で買えるスマホはどれを選ぶ?【2024年末版】 -
第269回
スマホ
今の楽天モバイルってどうなってる? メイン回線で使える? 速度低下はどう? -
第268回
スマホ
ahamo/UQ/LINEMO、約3000円で30GBの料金プランが並んだが、さてどれがいい? - この連載の一覧へ