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松村太郎の「西海岸から見る"it"トレンド」 第161回

Facebookが使い分ける拡張現実と仮想現実

2017年04月23日 10時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII編集部

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F8の基調講演に立ったFacebookのマーク・ザッカーバーグ氏。カメラをAR第一のプラットホームにする、とのコンセプトを掲げた

 4月から6月にかけては、毎月、大手テクノロジー企業が開発者会議を開催し、2017年の技術的なトレンドが決まっていきます。Facebook、Google、Appleは、それぞれ多くの開発者を抱えるプラットホームになっており、彼らの新しい技術やAPIは、今年アプリを開発していく開発者にとっての貴重な「アイディアとビジネスの源泉」になります。

 口火を切ったのはFacebook。米国時間4月18日、19日の2日間、カリフォルニア州サンノゼで「F8」を開催しました。

実はバークレーからは遠いサンノゼ

 FacebookもAppleも、2016年まではサンフランシスコ市内でイベントを開いていました。Facebookはゴールデンゲートブリッジに近いフォートメイソンという会場で、Appleはモスコーンセンターがおなじみの開催場所です。しかし、今年はともにサンノゼ・マッケナリー会議センターでの開催となりました。

 サンフランシスコ空港とサンノゼは車で45分(道が空いていればですが)、公共交通機関でも1時間半ほどの距離にあり、またサンノゼ空港にはANAの直行便が成田から飛んでいます。日本からの参加は、不便とまでは言い切れない、そんな位置関係です。

 ただ筆者が住むバークレーから行くとなると、もはや小旅行です。バークレーはサンフランシスコの対岸にあり、イメージで言えば、木更津と川崎みたいな関係です。例えが関東過ぎますが。

 Googleマップのナビによると、“空いていれば”車で1時間の距離になります。サンフランシスコ側に渡らず、バークレーがあるイーストベイをひたすら南下すると到着するのです。

 しかし、“空いていれば”なんていう希望は打ち砕かれるように毎日渋滞します。そのため、実際には2時間以上かかる覚悟が必要です。というわけで、筆者は交通機関での移動を選択しました。比較的電車に乗る時間がまとまって長いので、いろいろ作業もできると踏んだからです。

 行きはバークレーからBARTでサンフランシスコ空港近くのミルブレーまで50分かけて南下し、そこで都市間鉄道CalTrainに乗ってサンノゼまで50分。さらにライトレールに乗り換えて2駅で、会場の目の前に到着します。乗り換えと待ち時間を含めて2時間半でした。

 帰りは会議場近くから路線バスに乗り、バークレー側・イーストベイのBARTの南端フリーモントまで45分で移動し、そこからBARTでバークレーまで北上して45分。バークレー駅までは1時間半でたどり着きました。

 いずれも初めての移動でしたが、後者が正解でしたね。それにしても交通機関を駆使した方が、道が空いているときの車の移動時間よりも遅いというところが、米国の交通事情を物語っているように感じます。

VRはもともとソーシャルな要素を持っている

 朝6時からの移動があまりに小旅行過ぎて、前置きが長くなってしまいましたが、サンノゼでのFacebook開発者イベントで発表された、ユーザーとして利用できるFacebookサービスのアップデートは拡張現実・仮想現実を織り交ぜたものでした。

 まず目を引くのが、「VRはもともとソーシャルの要素を持っている」として紹介された「Facebook Spaces」です。非常に乱暴に言ってしまえば、Facebook版のMii(任天堂のアバター)みたいなものです。早速筆者も、F8の会場で作ってみました。

Facebook Spacesは、VRプラットホーム。プロフィール写真から自分のアバターを作り、友人とのコミュニケーションやビデオチャットを行うことができる

 なお、Facebook Spacesを使うには、Oculus RiftとTouchが必要で、アプリは無料で試すことができます(https://www.oculus.com/experiences/rift/1036793313023466/)。

 似顔絵作りはFacebookにアップロードされている写真から自動的に構成され、あとは各パーツを自分でカスタマイズすることができます。完成したら、友人を誘って、1ヵ所に集まってお絵かきをしたり、360度ビデオや写真の風景の中でバーチャルなセルフィースティックを使って写真を撮ったり、ビデオチャットにアバターで登場したり。

 今後はおそらく、ゲームやショッピングといったアプリが登場してくると予測できます。

 しかし、現在600ドルするOculus Rift一式を揃えなければならないという、デバイス面でのハードルは大きいように感じます。ゲームのためにOculus Riftを持っている人たちが楽しむとしても、どうしても必然性を感じにくいのは事実でしょう。

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