イスラエル発、注目のハードウェアデバイス開発スタートアップ
イスラエルのスタートアップと聞いて読者の皆様はどのようなスタートアップを思い浮かべるでしょうか?
やはりサイバーセキュリティーやFintech(フィンテック)、人工知能など、ソフトウェア領域を思い浮かべる方が多いのではないかと思います。実際にイスラエルのスタートアップ企業の大半はソフトウェア関連のサービスを開発する企業が多いのですが、今回はあえてソフトウェアではなく、デバイスの開発、製造を行なっているイスラエルのスタートアップ企業をご紹介してみようと思います。
EyeSight Technologies
EyeSight Technologiesが開発、製造を行なうのは上記のSingleCue(関連サイト)というデバイス。テレビの前に設置することで、テレビをジェスチャーでコントロール、チャンネル変更や音量の変更などのジェスチャー操作を可能にするデバイスで、さらに視聴者の視線などを分析することでコンテンツの分析にも役立てることが可能だ。
コンピュータービジョンと機械学習の高い精度を保有している当社はSingleCueにとどまらず、ロボットやハウスメーカーなどと協力しながらジェスチャー操作が可能なスマートハウスの実現を目指している。近い将来のうちに、スイッチ、リモコンを使うことなく家を操作できる日が来るかもしれない。
NUA Robotics
NUA Robotics(関連サイト)は2016年のCESなどでも注目を集めていたためご存じの方もいるかもしれないが、ひと言でいうなれば荷物を運ばずに旅を楽しむ世界の実現を目指している。コンピュータービジョンとロボティクスの技術を組み合わせることで、持ち主を自動追尾することの可能な台車を開発しており、スマートフォンアプリの“Follow Me”ボタンをタップすることで台車が障害を避けながらあなたの追跡を開始する。
Ecoppia
Ecoppia(関連サイト)はソーラーパネルのお掃除ロボットを開発、販売している。発電効率を低下させてしまうソーラーパネルの砂汚れを、気流とマイクロファイバーを用いることで除去することが可能である。特徴的なのは水を使わずにソーラーパネルの掃除ができる上にこのロボットの上部にもソーラーパネルが装着されており、自動で充電して動作を続けるため非常にエコな点で、特に降雨量が少なく水資源が十分ではなく砂の付着が問題になるアフリカやインドなどで導入が進んでいるという。
SCiO
Consumer Physicsの開発するSCiO(関連サイト)というデバイスは、身の周りにあるものの分子構造を明らかにしてくれる。イメージ分光センサー技術を内蔵した手の平サイズのデバイスでスキャンすると、たとえば果物などの食べ物をスキャンすればカロリーや脂質、水分などの栄養分を、身体をスキャンすれば体脂肪率など、ほかにも机やらそこら中にあるものが何で出来ているかなどを分子レベルで知ることができる。KickStarterで3億円ほどの資金調達に成功し、現在マスプロダクションに向けて開発を行なっている。目には見えないものまで小型のデバイスとスマートフォンで知ることができる、わくわくする未来デバイスだ。
イスラエルはアラブボイコットなどの影響のため、消費者向けデバイスの製造に強みを持たなかったが、近年ではクラウドファンディングの登場によりマーケティングと資金調達の面でハードルが下がり、新たなデバイスの開発が進んでいる。ソフトウェアに強みを持つイスラエルのスタートアップ企業が今後どのようなハードウェアを世間にお披露目するのか、今後も注目していきたい。
■関連サイト
Aniwo
植野力(COO & Co-Founder/Aniwo)
2014年にイスラエルに渡り、独自のアルゴリズムでイスラエルのスタートアップと世界の投資家をつなぐ。マッチングプラットフォーム「Million Times」を運営するAniwo社を共同創業。2015年末より日本支社を担当。
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