3月31日は、午前中から、数多くのソニーファンがソニービルを訪れ、最後のソニービルの姿を目に焼き付けていたほか、閉館を惜しむ声も聞かれた。
この日、ソニーの平井一夫社長もソニービルを訪れ、午後6時からは、プレス向けの特別イベントを、ソニービルの4Cエリアを使用して開催。平井社長にとって、高校、大学の先輩であり、会社の先輩であり、「人生の先輩」(平井社長)とするジョン・カビラ氏との軽妙なやりとりで、ソニービルの思い出などに触れた。
ジョン・カビラ氏とのグータッチで登場するという予想外の展開から始まったトークショーでは、平井社長が、「中学生の頃から、銀座に遊びに来ると、最初に訪れたのがソニービル。そのあとに、音響メーカーやカメラメーカーのショールーム、ギャラリーを訪れて、一日中、銀座で遊んでいた」と、子供の頃からソニービルに来ていたことを振り返りながら、「父も、祖父も、大のソニーファンで、家に帰ると、ソニーのショールームかというほどソニー製品がたくさん並んでいた。物心がついた時から、ソニーの商品が周りに一杯あった」などと語った。
カビラ氏も、「1階から地下に行くときのドレミ階段が楽しかった」と発言。「我々の父親世代は、ソニーが戦後復興のシンボルであった」などと振り返った。
また、沖縄出身のカビラ氏は、「美ら海水族館のアクアリウムは、ずっと続けてもらいたい」と要望。平井社長は、「こういう場で、後輩をいじめないでほしい」と言いながらも、「カビラ先輩の要望なので、やりましょう」と約束した。
トークショーのあと、平井社長がサックスを披露することを明らかにしたが、「どのぐらい練習してきたのか」とのカビラ氏の問いかけに、「これまでにサックスは見たことはあったが、触ったのは1カ月前が初めて。会社の会議室で練習をしていたら、誰かが、会社でサックス吹いていると通報があり、それが社長だとわかったら、みんな、なにも言わなくなった」とジョークを交えて回答。「勤務時間中に練習ですか?」の問いには、「これは仕事です」と回答して、会場を笑わせた。
「2つの音しか吹けない」としていた平井社長が、この2つの音をリズミカルに奏でると、それにあわせて東京スカパラダイスオーケストラが登場。会場は盛り上がりをみせた。その後、演奏をしながら階下まで移動し、最後は、ソニー通りを閉鎖して作られた特設ステージで、東京スカパラダイスオーケストラが3曲を披露し、最後の曲では、再び、平井社長も参加。閉館を惜しむような雨が降るなか、ソニービル最後の日を盛り上げた。
平井社長がステージに登場して挨拶
平井社長は、「この50年間みなさんにお世話になった。ソニービルは本日をもって一度閉館するが、来年夏にソニーパークとして生まれ変わる。この50年間サポートしていただいたみなさんや、世界のみなさんに、ソニーパークに来ていただいて、銀座という街をさらに楽しんでいただきたい。それまでしばらくお待ちください」と呼びかけた。