最近はLCCの就航本数が多く、激安航空券も増えている台湾の人気が高まっています。でも、スマートフォン好きにとっては、台湾より香港が気になるところ。香港といえば「スマホビル」とも言える、先達廣場で最新モデルが安い価格で購入できるからです。
「iPhone」需要が落ち着いた香港スマホビル
ところが、先達廣場もここ1、2年ですっかり様変わりしてしまいました。ここ数年先達廣場をささえてきたのはiPhoneの転売。ただ、いまや中国国内でiPhoneが普通に購入でき、しかも、価格もそれほど高くないとあって、わざわざ中国から先達廣場にiPhoneを買いに来ていた客が激減してしまったのです。
人口約700万の香港がアップルにとって重要な市場なのも、香港の住民だけではなく海外、とくに中国からやってきてiPhoneを買う客が多かったからなのです。
また、最近は大手メーカーのスマートフォンであれば、どこの国でも価格はほぼ同じになっているために、香港で輸入してまで安く売る、というビジネスも成り立ちにくくなっているのでしょう。ということで、最新モデルの掘り出し物は以前ほど探しにくくなってきました。
とはいえ、最近の製品で売れ行きが悪く、販売ディーラーが在庫を抱えた製品が安く大量に出回る、なんてケースはいまでもよくあります。それらの製品は時には定価の半額で買えるものもあり、メーカー保証もある、なんてお得な製品も見かけます。
先達廣場でスマートフォンを探すなら、iPhoneやGalaxy Sシリーズ、Xperiaの値引きを気にするよりも、そんな掘り出し物を探す方がおもしろいかもしれません。
少し「メジャーじゃない」スマホを探してみよう
たとえば、2017年3月に先達廣場を回ってみたところ、あちこちの店でセール品として売られていたのがZTEの「AXON 7」。価格は2080香港ドル(約2万9800円)で、香港の定価よりかなり安いのはもちろん、日本の価格と比べても半額前後くらいですね。
いくつもの店にあったので、恐らく香港での売れ行きがイマイチだった模様。製品は悪くないだけに、むしろこの価格で買えるのはかなりのお買い得です。
ほかにもレノボの初代ファブレット「PHAB」が850香港ドル前後(約1万2200円)で売られているのも発見。ディスプレーは6.98型HD解像度(720×1280ドット)という低価格大画面モデルで、この手の製品は東南アジアでは人気です。しかし、高性能モデルを求める香港ではパッとしなかったのかもしれません。
こんな格安品を探しながら店を回ってみると、レトロな端末もちらほら見かけます。QWERTYキーボードを本体に内蔵、背面を回転させて十字型にしても使えるという、他社にはありえない形状の旧シーメンスの「SK65」が売られていました。新品同様だそうで、いったいどこから出てきたのでしょう?
また、ノキアの名機「8250」が箱入りで販売中。これはもしかすると中古品の再生品なのかもしれません。ほかにもBlackBerryの「7100g」がわずか100香港ドル(約1400円)など。このBlackBerryの新品はレアなのでついつい買ってしまいました。
ちょうどASCII倶楽部の連載「スマホメーカー栄枯盛衰」でBlackBerryの回を書いていたので、記事の写真にも利用。興味ある方は、ぜひどうぞ(ASCII倶楽部は月額1080円の有料会員向けサイト)。
超掘り出し物の「VERTU」も発見!
さて、先達廣場も何度か同じ店を訪問していると、なじみ客として入荷したばかりのレア品を見せてくれることもあります。筆者がよく立ち寄る、通好みの製品が置いてあるお店の前を通ったところ「いいのあるぞ」と声をかけられました。
超高級携帯電話、VERTU(ヴァーチュ)のシグニチュアの2015年製造モデルだそう。しかも、箱から出して見せてくれました。
200グラムを超えるずしりとした重さの存在感は、この端末が通話とSMSしか(ほぼ)できなくても十分、と思わせてくれます。
ちなみに、定価は100万円をはるかに超えます。ここでのお値段は50万円くらい。「お前なら安くするよ」と言われたものの、一生懸命原稿を書いても買えそうにありません。
以前は中国製のマイナーメーカースマートフォンを売る店もありましたが、最近は数店舗のみ。値段も思ったほど安くは無く、低価格品を買うなら素直にシャオミの店に行ってシャオミ端末を買ったほうがいいでしょうね。
その代わり、日本ではあまり知られていない、中国のきちんとしたメーカーの製品が少しずつ増えてきています。
プリペイドSIMを買うならスマホビルから少し離れよう
また、プリペイドSIMを売る店も増えていますが、SIMは地下鉄に乗って2駅先のシャムシュイポ(ShamShuiPo)にある桂林街のSIM屋台に行ったほうが安いので、素直に移動しましょう。
最近のはやりは海外用SIMですが、タイのAISのローミングSIMが、なぜかシャムシュイポで売られています。アジア8日3GBが90香港ドル(約1300円)、欧米アジア15日3GBが200香港ドル(約2900円)と、海外旅行用に便利な1枚です。
香港もLCCが増えて気軽に渡航しやすい国になりました。いまや香港よりも深セン電脳街のほうがおもしろい、なんていう人も増えています。でも香港のスマートフォンビル、先達廣場もまだまだ掘り出し物が見つかる楽しい場所です。ぜひ訪問してみてください。
「スマホ好き」を名乗るなら絶対に読むべき
山根博士の新連載がASCII倶楽部で好評連載中!
長年、自らの足で携帯業界を取材しつづけている山根博士が、栄枯盛衰を解説。アスキーの連載「山根博士の海外モバイル通信」が世界のモバイルの「いま」と「未来」に関するものならば、ASCII倶楽部の「スマホメーカー栄枯盛衰〜山根博士の携帯大辞典」は、モバイルの「過去」を知るための新連載!
「アップルも最初は試行錯誤していた」「ノキアはなぜ、モバイルの王者の座を降りたのか」──熟練のガジェットマニアならなつかしく、若いモバイラーなら逆に新鮮。「スマホ」を語る上で絶対に必要な業界の歴史を山根博士と振り返りましょう!
→ASCII倶楽部「スマホメーカー栄枯盛衰〜山根博士の携帯大辞典」を読む
★ASCII倶楽部は、ASCIIが提供する会員サービスです。有料会員に登録すると、 会員限定の連載記事、特集企画が読めるようになるほか、過去の映像企画のアーカイブ閲覧、編集部員の生の声を掲載する会員限定メルマガの受信もできるようになります。さらに、電子雑誌「週刊アスキー」がバックナンバーを含めてブラウザー上で読み放題になるサービスも展開中です。
この連載の記事
-
第780回
スマホ
AQUOS R9 proのカメラ周りをドレスアップ! フィルター装着で広がるスマホの楽しみ方 -
第729回
スマホ
激薄折りたたみ「Galaxy Z Fold Special Edition」のケース3種類を試す -
第728回
スマホ
Xiaomi 14Tにフィルター装着できるMagSafeケース、香港の予約特典に登場 -
第727回
スマホ
Galaxyの2025年モデルがいよいよ登場「Galaxy A16 5G」が販売開始 -
第726回
スマホ
1700万円のシャオミ製スーパースポーツEV「SU7 Ultra」を広州モーターショーで見た -
第725回
スマホ
この冬一番の注目スマホ、超薄型折りたたみの「心系天下W25」がサムスンから登場 -
第724回
スマホ
駅名ごとGalaxy! クアラルンプールの「Samsung Galaxy駅」がスゴすぎた! -
第723回
スマホ
レトロデザインが可愛すぎる!? Nokiaケータイ風リュックの良さを知ってほしい! -
第722回
スマホ
iPhone 16発売直後の深セン、中国でも中古買い取りショップと転売が盛況 -
第721回
スマホ
日本と変わらぬ熱気がスゴイ! 中国・深セン版「ポタフェス」に行った -
第720回
スマホ
USBケーブルや電源プラグに4G内蔵も! 進化するモバイルルーターたち - この連載の一覧へ