フォーティネットジャパンは3月7日、2016年度のビジネスの振り返りと、2017年度の国内事業戦略に関する記者説明会を開催した。日本市場ではすでに高いシェアを獲得しており、本社に先駆け「次世代」基盤実現に駒を進める。
2016年度の同社ビジネスは、グローバルの売上高が12.8億ドルと前年比26%増になった。日本法人 社長執行役員の久保田則夫氏は、「ASICベースのセキュリティソリューションを一貫して提供してきた実績が、(2016年度の)成果へとつながった」と説明する。
同社がグローバルで掲げている4カ年戦略の目標は、「2020年までにセキュリティアプライアンス市場でNo.1になること」だ。もっとも、日本のセキュリティ機器市場においては、すでにベンダー売上額、出荷台数ともにNo.1シェアを達成しており、“2台に1台がフォーティネット製品”という状況にも手が届きそうな勢いだ。
そのためフォーティネットジャパンでは、昨年発表した「セキュリティファブリック」のコンセプトを、米国本社に先駆けて実現できるよう取り組んでいくという。セキュリティファブリックとは、糸を編み込みながら破れない生地(ファブリック)を作るように、他社製品との連携を高めながら強固なセキュリティ基盤を築くというコンセプトだ。
企業のネットワークセキュリティは、外部との境界(接続部分)を保護する第一世代、保護対象をアプリケーションやコンテンツまで広げた第二世代と進化してきたが、クラウドやモバイル、IoTの普及によって、今では保護対象がネットワーク境界の「外」にも存在する。めまぐるしく変化する脅威からこれらを守るためには、包括的かつ俊敏な次世代(第三世代)のセキュリティが必要だと、久保田氏は言う。
具体的には、ネットワークからエンドポイント、アプリケーション、クラウドまで、他ベンダーのソリューション含めて可視化、ファブリック内すべてのデバイス間で脅威インテリジェンスを共有し、独自の高速なセキュリティプロセッサを最大限活用し、迅速かつ協調的に対応する。
このほか、今年4月から「FortiOS 5.6」へのバージョンアップを順次開始予定で、同社の無線LANアクセスポイント、スイッチ、サンドボックスのほか、API連携したソリューションを単一の管理コンソールで統合運用できるようになる。
また4月より、フォーティネット製品の購入済みライセンスをAmazon Web Services(AWS)とMicrosoft Azureに持ち込めるようにするBYOL(Bring Your Own License)施策を開始する。4~6月の第2四半期には、日本のパートナー経由で販売とサポート含むパッケージを提供予定だ。
なお、同社は2015年に脅威分析/インテリジェンス提供を担う「FortiGuard Labs」を日本にも設立し、2016年は脅威レポートの発行やセミナー/ブログなどでの情報共有を積極的に展開、ICS関連アプリケーションのシグネチャ開発支援なども行ってきた。2017年は、IoC(侵害の痕跡)配信サービスや分析サービスの総合ポータルの提供など、新サービスをリリースする予定で、それに伴い、セキュリティアナリストも若干名採用する予定だという。
「新オフィスに移転し、技術/営業/マーケティングがワンフロアに集約されたことでコミュニケーションが円滑になり、タイムリーな判断ができる環境が整った。興味のある方は、ぜひ応募してもらいたい」(久保田氏)