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新生活応援ホームシアター構築術 第2回

東芝「レグザ」で比べる、テレビでシアターなら有機ELと液晶どっちがいい?

2017年02月28日 12時00分更新

文● 鳥居一豊

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「エクソダス:神と王」を視聴! 輝き表現は液晶が有利

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 「エクソダス:神と王」も興味深い違いが出た。冒頭の出陣前のシーンを見たが、王子がまとう金色の鎧のギラりとしたツヤ、太陽のまぶしい輝きはZ810Xの方がしっかりと出て、エジプトの強さがよく伝わる。

 X910の方では、ギラりとしたツヤや太陽の輝きはやや弱まるが、太陽の光がさえぎられた薄暗い室内や、太陽を背にした逆光の登場人物の表情が非常きめ細かく再現される。

 絶対的な精細感や解像度の高さはどちらもほぼ同等と言えるレベルなのだが、暗いシーンではX910の方が高解像度に見えるし、明るいシーンではZ810Xの方が高解像度に見える。このあたりが、表示パネルの違いからくる画質の差がよくわかると思う。

有機ELが必ずしもいい、とは言えない!
部屋を暗くするなら有機EL、明るいままなら液晶

有機ELテレビと液晶テレビ、それぞれにメリットとデメリットがある

 両方の画質傾向の違いはわかった。では、どちらを選ぶべきか? 筆者自身意外だったが、必ずしも有機ELが圧勝ではなかった。

 はっきりと言おう。視聴する環境に合わせて選ぶのが正解。ふだん、映画を見るときに部屋を暗くする人ならば有機EL(X910)。部屋の明るさはそのままで映画を見るならば液晶(Z810X)。というのが筆者の結論だ。

 X910はプラズマと違って、基本的な明るさは全白画面でピーク800nitsほど出ている。参考までに言うとプラズマはピークで100~200nitsくらいだそうだ。だから、明るい部屋で見づらくなってしまうようなことはない。

 しかも、自発光型だから視野角フリーなので明るいリビングで家族みんなで映画を見るというような使い方でも十分にその魅力を味わえる。だが、一度部屋を真っ暗にして映画を見たときの異次元の暗部再現こそが、本来の魅力だと思う。

 Z810Xは全白画面でのピーク輝度は軽く1000nitsを超えるようだ。だから、明るい環境でもまぶしいほどの輝きを表現できるパワーがあるし、明るい環境ならば黒浮きもあまりに気にならない。

 暗部階調も液晶の特性に合わせて調整されているので、黒浮き感もなくしっかりとした階調表現を楽しめる。当然、暗い環境でも液晶としては十分に優秀なレベルの暗部の再現ができるのだが、両者を比較して見た印象としては、Z810Xは明るい環境でこそ、魅力のある映像だと言いたくなる。

 画面サイズもやや異なるが、その差以上にパネルの違いによる価格差が大きいので、予算的な意味で悩む人は多いだろう。だが、映像は暗い環境で見るものと考えるならば、画質は有機EL、画面サイズならプロジェクターを選ぶべきだと思う。

ホラー映画・ゲームでは有機ELがダントツに優れている

 余談だが、X910でホラー映画を見ると、怖さが強烈に増幅される。怖さで評判のゲーム「バイオハザード7」(実はHDR対応コンテンツ。プレイステーション4 Rroならば4K+HDRで楽しめる)を試したが、すでに一度エンディングを迎えており、怖がらせ演出のポイントも把握しているのに、1時間でプレイを中断したほど恐かった。

 ホラー映画好きならば最高だが、誇張無しで「決して一人では見ないでください」レベルの怖さになる。「最近のホラー映画は全然恐くない」という剛胆な人はぜひX910を選んでほしい。

 X910とZ810Xは、決して高価格だから上級機で性能も上というわけではないことをわかってもらえたと思う。

 こうした画質の違いは実際に自分の眼で見て判断すべきと思うが、量販店のテレビ売り場は基本的にかなり明るい環境なので、X910の良さがわかりにくいかもしれない。専門店や照明を落とした環境で展示している店を探して確認するようにするといいだろう。

「映画の半分は音だ」(byジョージ・ルーカス)
映像を極めたら音も極めよう

 プロジェクターか薄型テレビか、有機ELか液晶か。自分のホームシアターの実現で一番の難関は実はこうした決断をくだすことだと思う。

 大画面と画質のどっちを優先するか、暗い環境で見る/見ないというのは、それぞれで異なるのが当たり前なので、正解などはない。自分が一番大事にする要素を選ぶことが重要だ。それが理想のホームシアター作りの第一歩となるはずだ。

 そして、自分なりに映像を極めたら、次は音だ(音を優先するのもアリ)。次回は、ホームシアターのためのサラウンドシステムを紹介したい。

 いわゆるサラウンドシステムだけでなく、サブウーファーを使ってテレビの音をグレードアップするテクニックも紹介するのでお楽しみに。

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