進学や就職など新生活がスタートするこの季節。引っ越しをきっかけにホームシアターを実現しようという本特集。今回は薄型テレビを中心としたホームシアター構築術を紹介しよう。
今年ますます盛んになる高精細・高画質動画は
薄型テレビが有利!?
前回の記事を読んだ読者は、高嶺の花のイメージが強いはずのプロジェクターが思った以上に安価だと知って驚いた人も多いはず。
テレビチューナーなどがないとはいえ、10万円クラスでも80~100インチが実現できるとなれば、インチあたりの価格は薄型テレビよりも低くなりかねない。液晶テレビの場合、10万円で購入できるのは40~60インチクラス。迫力(大画面)と価格で選ぶならプロジェクターがいいだろう。
そんな100インチ級のサイズを諦め、それに比べれば小さなサイズとなる薄型テレビでホームシアターを実現する積極的な理由はあるのか。
もちろん、設置性の問題はあると思うが、もう1点見逃せないこともある。
それは、ズバリ「画質」だ。多くの人が薄型テレビの映像を見慣れているという理由もあるし、ブラウン管テレビの時代から、「テレビは明るい画面の方がきれいに見える」というのが定説。
プロジェクターのようにスクリーンに投射した光の反射を見る仕組みはロスが多く、映像を映す画面自体が光っている薄型テレビの方が画面の輝度は大幅に高い。プロジェクターで薄型テレビと同等かそれ以上の画質を求めると、軽く100万円に近い製品になってしまうが、その理由のひとつは画面輝度を高めつつ、トータルとしての画質(色再現や階調など)も高めることが難しいからだ。
おおざっぱに言えば、一般的な人にとって手の届く価格帯で比較するならば、薄型テレビの方がプロジェクターよりも高画質だと言っていい(もちろん、プロジェクターの100インチ級大画面には絶対的な画質の差を補ってあまりある魅力もあるが)。
最新の映像技術に対応した液晶テレビは
プロジェクターより割安かつ高画質
さて、プロジェクターでは明らかに高額になってしまう最新技術として「4K」がある。フルHDの4倍の解像度(3840×2160)で表示する技術だ。
そして、4K解像度のBlu-ray(UHD BD)や最近の動画配信サービス(Netfrixなど)は「HDR」という、ダイナミックレンジを拡張表示する技術も導入されている。
HDRは現行の放送やBDソフトが100nitsほどの明るさを最大としていたのに対し、規格上は最大1万nitsもの高輝度表示を可能にする(現状では1000~4000nitsほどの輝度で記録されているコンテンツがほとんど)。
これにより、直射日光のまぶしい光もリアルに再現できるし、暗くて見えづらくなりがちだった薄暗い場所の映像も陰影を豊かに描き、見通しのいい映像で楽しめるようになる。
4Kテレビはその多くがHDR対応だし、プロジェクターにもHDR対応モデルは登場しているが、絶対的な画面の明るさが足りないプロジェクターではHDRの高輝度な再現は持ち味が得られにくい。
プロジェクターも今後はさらに優れたモデルが登場するだろうが、少なくとも現時点では、HDRコンテンツを存分に味わうならば薄型テレビの方が有利だ。
画質を優先して薄型テレビでホームシアターを実現するなら、やはり画質にこだわりたい。最近の薄型テレビはどのモデルも十分に高画質なのだが、さらなる高画質を求めると「有機EL」という選択肢が気になるところ。
有機ELテレビは今年は国内メーカーからも発売が予定されているが、その一番手となったのが東芝の「レグザ X910」シリーズ。ここでは、X910シリーズと同時に発表された液晶テレビ「Z810X」と比較して、本当に有機ELのほうが優れているのかチェックしたい。
この連載の記事
-
第3回
AV
サブウーファーをつなげるだけでも変わる! お手軽なオーディオ増強 -
第1回
AV
プロジェクターなら6畳ワンルームでも100インチ級が可能! 引っ越しのついでに導入!! -
AV
引っ越し時がチャンス! 新生活応援ホームシアター構築術 - この連載の一覧へ