2月23日、エンタープライズストレージベンダーのインフィニダット ジャパンは、日本市場での販売においてSCSKとの協業を発表した。発表会では、インフィニダット創業者兼CEOのモシャ・ヤナイ氏も登壇し、高性能・高信頼性と低廉なコストを両立できるInfiniBoxのメリットをアピールした。
高信頼性・高性能と低廉なコストを両立させる
インフィニダットは、ビッグデータやクラウド、IoTなどに対応するハイエンドストレージ「InfiniBox」を手がけるストレージスタートアップ。創業者兼CEOのモシャ・ヤナイ氏は、EMCのファウンダーでもあり、その後IBMのXIVの開発を手がけた生粋のストレージ専門家だ。すでにリタイアしていたが、第3世代のハイエンドストレージを世に送り出すために現役復帰し、2011年にインフィニダットを起業した。
現役復帰した背景についてヤナイ氏は、「リタイア後に多くのCIOから連絡があり、データ爆発にまつわるコストの増大に対応できるのか聞かれた。でも、性能や信頼性にも妥協できないと、彼らは口々に言っていた」と語る。
現在のストレージ市場は、ヤナイ氏が「レガシーモノリス」と呼ぶEMCやHP、IBMなどのエンタープライズストレージのほか、性能重視のオールフラッシュアレイ、そしてサーバーとの統合を進めたハイパーコンバージドインフラなどが選択肢として存在する。一方で、FacebookやAmazonなどのハイパースケーラーは、安価で信頼性の低いディスクを大量に束ねたストレージでビッグデータを運用している。
これに対してインフィニダットは安価で信頼性の低いニアラインSAS HDDとソフトウェアの組み合わせで、高性能と信頼性を実現するという。従来、高い性能と信頼性を持つストレージを実現するのであれば、高速で信頼性の高いハードウェアを利用するのが常識だった。しかし、この場合は当然ながらコストは大幅にアップしてしまい、ストレージ製品の高騰化をもたらしていた。これに対して、ヤナイ氏はイノベーションによって、コストと性能・信頼性を両立できるストレージを実現できるという。
ヤナイ氏は、IBM 3350をミニコンがリプレースし、さらにIBM 3390をPCドライブがリプレイスした過去の事例を振り返る。そして今日は、高性能と信頼性を実現しようと考えれば、SSDを活用するのが必然の選択肢だが、やはりコストの問題を解決できないという。「多くの人は、もはやスピンドライブは過去の遺物だというが、それは真実ではない。むこう10年は、SSDとHDDにある10倍から20倍のコスト差は縮まらないからだ」とヤナイ氏は語る。これに対してInfiniBoxはニアラインHDDとSSDキャッシュを活用した分散アーキテクチャのソフトウェアを独自開発し、コモディティハードウェアベースのストレージにおいても高い信頼性と性能と実現したという。
従量課金モデルも用意するSCSKの販売体制
InfiniBoxは、コモディティハードウェアによるSDS(Software Defined Storage)をベースにしたユニファイドストレージ。4TBのディスク障害を平均2~3分で復旧させる高速なリビルドや2箇所同時のハードウェア障害に対応し、99.99999%(セブンナイン)という高い可用性を実現する。また、HTML5ベースのモダンなUIやストレージ管理のためのAPIなども用意しており、管理性にも配慮。現在、グローバルの顧客数は300社を超え、出荷実績は450PB以上になっているという。
今回、インフィニダット・ジャパンはSCSKとの協業を発表し、日本での展開を加速させるという。登壇したSCSK 執行役員 ITエンジニアリング事業本部長の池直樹氏は、提供方法、サポート、ソリューションの3つの面で顧客に高い価値を提供すると説明する。
まず提供形態は買い取りのほか、使った分だけの従量課金も用意する。無停止での増設も可能なので、容量を容易に拡張可能。SCSKの池氏は「わずらわしい増設なしで、お客様には使いたい分を使っていただく」とアピールする。また、技術サポートとして24時間365日体制のオンサイト保守サポートを提供するほか、他製品やサービスとの組み合わせたソリューションを提供。池氏は、「現在のビッグデータ、IoT、AI、クラウドなどを支えるエンタープライズシステムのパラダイムを変えると革新している」と、インフィニダットへの期待を示した。