3月8日、イスラエルのストレージベンダーであるINFINIDATは、日本法人インフィニダット・ジャパンの設立を発表した。99.99999%(7Nines)という高い可用性を誇るほか、ラックあたり2PBの実効容量を提供するハイエンドストレージを従量課金モデルで提供する。
元EMCの創業者がニーズを掘り起こして起業
INFINIDATはEMCの創業者兼CTOであるモシェ・ヤナイ氏が2009年に創業した新興ストレージベンダーになる。ヤナイ氏はハイエンドストレージであるSymmetrixや現在主流となっているデュアルコントローラーの開発に携わってきた人物。すでにリタイヤしていたヤナイ氏だが、ヒトゲノムの研究者である息子との会話で、ゲノム解析にコストがかかるという課題を聞いたのが、創業の経緯だったという。
INFINIDATのCMO(Chief Marketing Officer)であるランディ・アルセノー氏は、「ヒトゲノムの1シーケンスを分析するコストは、数年前の1億ドルから今では5000~1万ドルに下がった。しかし、データが膨大すぎて、クラウドでの処理が難しかった。研究者にとってはITが足かせになっていた」と指摘する。これを受けて、ヤナイ氏が以前率いていたIBM XIVの開発部門を買収し、コモディティハードウェア上にスクラッチで開発したSoftware-Defined StorageがInfiniBoxになる。
InfiniBoxは1年間に約5分以内の停止という99.99999%という可用性を誇るハイエンドストレージで、「EMC VMAXの100倍の可用性」を謳う。ハイエンドモデルの「F6000」では42Uのラックに3台のコントローラーと8台のエンクロージャーが組み込まれる形で提供されており、ラックあたり6TBのディスクを最大480台搭載できるため、総容量で2.8PBを実現する。3台のコントローラーはすべてアクティブで動作するほか、ディスクの自己修復機能、三重の冗長電源、N+2のデータパス、スナップショットやレプリケーション機能、ホットスワップでのアップグレードなど、信頼性や可用性を特に重視した作りになっているのが特徴だ。
大容量データの演算を瞬時に届ける
InfiniBoxは性能面でも、90万IOPS、12GB/秒ときわめて高いパフォーマンスを実現する。全ディスクにダブルパリティを付けて分散書き込みするほか、読み出しに関してもコントローラーのフラッシュにデータ処理を行なうため、こうした性能が担保されている。また、リビルド処理も平均2~3分という業界最高速を実現。「『Quantity before Quality』が設立理由。大容量データを高速に演算処理し、瞬時にユーザーに届けるのがわれわれの最大の価値」と日本法人のカントリーマネージャーである岡田卓也氏は語る。
組み込まれたハードウェアを前提に、使った分だけチャージされるという従量課金制を採用。ホスト側のプロトコルはFCやEthernetをサポートするほか、メインフレーム接続(ESCON)やiSCSIのサポートも予定している。ユーザーインターフェイスに関してはHTML5ベースのGUIのほか、RESTful APIも用意されている。
グローバルでは400PB以上での実績があり、EMC VMAX 40Kから移行した金融機関や22ラックのData Domainを2ラックに統合したテスト環境の事例などが披露。日本ではティア1ストレージのリプレースなどを前提に、パートナー開拓を進めているところだという。「ある企業で検証したところ、オールフラッシュよりもパフォーマンスが速かった。経済合理性に富んでおり、旧来のティア1ストレージに比べて、1/3~1/5以下になる」と岡田氏はアピールする。参考価格は250TBのF2000が3800万円前後、2.8PBのF6000が2億円前後となる。