Dolby AtmosやDTS:Xのような最新鋭のサラウンドには興味はあっても、なかなか自分の住む環境で実現するにはハードルが高い。そう思っている人は少なくない。
特に、最新鋭のサラウンドでは高さ方向を伴う立体音響となっているので、天井や壁の高い位置にスピーカーを設置する必要がある。
ほとんどの人は視聴位置の後ろにスピーカーを置くこと自体ハードルが高いのに、天井なんてとても無理と考えてしまうだろう。
だが、前回紹介したように最新の技術を備えた製品ならば、こうした問題の多くが解決可能だ。
本格的なリアル5.1chは無理でも、臨場感豊かなサラウンドを楽しむことはできるのだ。最終回となる第3回では、どんな家庭環境でも導入しやすいお手軽さはそのままに、より本格的なサラウンド音響を楽しめるモデルを紹介しよう。
特殊なユニットが後方の音をリアルに再現
ボーズ「SoundTouch 300 」
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「SoundTouch 300」の外観。高さ57mm、奥行き108mmとかなりのスリム設計となっている。天面部分は艶やかなパネル仕上げになっていて、高級感もある
ボーズが2月10日に発売する「SoundTouch 300」(直販価格 8万1000円)は、幅978mmの薄型フォルムのサウンドバー。ワンボディーでテレビと接続するだけでOKの手軽さはそのままに、リアルなサラウンド再生まで実現したモデルだ。
サウンドバーの内部には、左右それぞれに2つのウーファーと1つのツィーターが内蔵されている。それに加えて、独自に設計された「PhaseGuideアレイ」も左右それぞれに内蔵している。
これはメッシュ状の穴が空いたチューブのような構造となっており、高音域の音を再生するとメッシュ状の穴から指向性を持ったビームとなって高音が放射される。
これが左右の壁に反射して後方の音を再現するのだ。いわゆるバーチャル再生技術ではなく、壁の反射を利用するリアルなサラウンドというわけだ。
価格的には8万円ほどとやや高めになるが、後方の音までリアルに再現できるならば、十分にお買い得と言えるだろう。
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背面の接続端子。電源端子、測定用のマイク入力、光デジタル音声入力がある。各端子は凹んだ部分に用意されており、コネクターが出っ張らないようになっている
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背面の接続端子を逆側から見たところ。写真の左からLAN端子、別売のサブウーファー用出力、設定用のmicroUSB端子、HDMI入出力となる
接続端子はHDMI入出力1系統、光デジタル音声入力1系統を備えており、基本的な接続としては本機のHDMI出力を薄型テレビのHDMI入力(ARC対応入力)に接続すると、ARC機能でテレビの音声を再生できる。
ゲーム機などの音声も薄型テレビ側の入力に接続すれば、同様にその音声を再生できる。HDMI入力は4K/60p対応のパススルー入力。薄型テレビの入力が足りなくなった場合の追加用だ。
音声信号の入力はARC機能を利用するため、対応するのはステレオ音声信号のほか、Dolby Digital 5.1、DTS digital Surround 5.1、AAC 5.1のサラウンド音声となる。
このほかに、Wi-FiおよびBluetooth機能も備えており、スマホアプリを使用してインターネットラジオの聴取やスマホなどの音楽の再生ができる。
製品の名称にある通り、SoundTouchシリーズとの連携も可能で、異なる部屋にある対応機で同じ音楽を再生するといったことが可能だ。機能面においてもなかなかの充実度だ。
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