米大統領のTwitterアカウントの移行で一騒動
さて、ホワイトハウスはオバマ氏からトランプ氏へと、その主がかわりました。同時に、ホワイトハウスに紐付いていたインターネットのアカウントもまた、オバマ氏からトランプ氏へと移行することになります。
ただ、建物は利用する人が入れ替わるわけですが、ソーシャルメディアのアカウントの引越は少々異なります。
最もわかりやすいのはTwitterです。いままで「@POTUS」はオバマ前大統領が使っていたアカウントですが、そのオバマ前大統領は「@POTUS44」にIDを変更し、新しい@POTUSは、トランプ新大統領のアカウントになりました。
さらに言うと、@POTUS44にはそれまでオバマ前大統領をフォローしていた人が引き継がれ、同時に新しい@POTUSもフォローされるという移行が行なわれています。しかし新たに@POTUS44をフォローした人は、しばらくの間、@POTUSもフォローしてしまう手違いが起きたそうです。
オバマ前大統領(の新アカウント)をフォローしようとして、トランプ大統領のアカウントもフォローされたら、あまりに主張が違う点からして確かに問題です。TwitterのCEO、Jack DorseyはTwitterで経緯の説明と謝罪をしています(https://twitter.com/jack/status/822875525198860289)。
Twitterのほか、ホワイトハウスのFlickrによる写真共有アカウントも、オバマ前大統領時代のものは残され、まっさらなトランプ大統領のアカウントが用意されました。
政権の記録を伝え、残していくのはメディアの役割で、それは今現在も続いています。しかしインターネットの登場で政権が自ら、歴史に記録を刻んでいく時代になったのだということを強く感じさせる瞬間でもありました。
米国に限らず、世界中の国家が、こうした自分たちの日頃の行ないや成果を記録するようになることは、より良い世界を作っていくわかりやすい指標を与えることになるかもしれません。
今回の米国の選挙では、フェイクニュースという一種の情報ウイルスが、我々にとって効果的でありそうだ、ということも明らかにしました。
真実か否か、という問題は仕組みとして、真実が担保されるべきだと思います。その一方で、多くの人にとって「真実はさほど面白くない」というジレンマも存在しており、これは情報の真偽とは別の価値観が働きます。
このジレンマにいかに打ち勝つか、もう少し考えていく必要があるかもしれません。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura
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