ハーバード大学 工学・応用科学部は12月16日、わずか原子2個のラジオ受信機を実現したと発表した。
これはダイヤモンド格子欠陥と呼ばれる現象を応用した技術。ダイヤモンドは炭素原子が整列した結晶だが、一部に窒素原子が入ると格子欠陥と呼ばれる隙間が生じる。この格子欠陥にはユニークな性質があり、レーザーを当てると各種条件で光を吸収/放出する光が変化する。この現象を利用して磁界や電界、分子や原子の状態を解析するなどの研究が進んでおり、量子コンピューターへの応用も期待されている。
研究グループでは、格子欠陥が電磁気にも敏感に反応を示すことから、磁場をかけながらレーザーを当て、放出される光をオーディオ信号に変換。一般的なラジオ局を受信することに成功したという(磁界によって受信周波数を変更できるようだ)。
もちろんレーザー発振器にピックアップする装置、磁界など周辺機器は必要ではあるが、検波装置自身はわずか2原子という世界最小サイズのラジオということになる。ラジオ受信は半導体素子でも可能だが、ダイヤモンド格子欠陥は高温でも動作が変わらないことから将来的には惑星探査機の無線装置など、さまざまな応用も考えられるという。