ゲームオンが運営するMMORPG「ArcheAge」に、新種族「ドワーフ」が追加される。ドワーフは、小柄ながら強靭な体力と伝統への強いこだわり、新技術の探求心を持った種族だ。レベル30以上になると変身機能が使用できるようになり、一定時間変身時のみ使用可能なスキルで戦闘を行なうことができる。ドワーフ♂は茶風林さん、ドワーフ♀は悠木 碧さんが声を担当している。
今までアップデートの発表を日本運営プロデューサーの石元 一輝氏が信長の恰好をして岐阜で行なったり、3周年記念イベントを佐渡や能島で行なったりと、たびたびゲームの世界を飛び出すArcheage。今回は、ドワーフの世界を実際に体験してみようということで、石元氏とともに都内にある工房で刀鍛冶を体験してきた。
ゲームの世界では一瞬だが、リアルではめちゃくちゃ大変
ゲームの世界では一瞬で完了する鍛冶は、リアルだとどれだけ大変かを経験してみようということで企画された今回の刀鍛冶体験では、短刀づくりを体験。すべての工程を体験するには時間が足りないということで、作業工程をいくつか体験させてもらった。
まずは、ホド(炉)で玉鋼が赤くなるまで熱して、薄くなるように打ち延ばしたのちに水に入れて冷やす「水へし」という作業を体験。打ち延ばす作業にはハンマーを使用したが、普段は機械で作業するとのこと。ふいごは、奥にある棒を押したり引いたりすることで、手前にある炭に風を送ることができ、これによって炭の温度が上がる。基本、作業をする場合はふいごの前に座っている人が一番偉いという決まりがあり、その人の指示で作業をするのだという。
打ち延ばした玉鋼は、小割にして、硬くてキレイな部分と、柔らかい部分に選別する。なぜ選別するかというと、刀の中央は柔らかい「心鉄」で、外側は硬い「皮鉄」で構成されるためだ。小割にした後は、あらかじめ同質の鉄でつくっておいた台の上にそれぞれ積み重ね、1300度くらいの温度で鍛接をする。
刀鍛冶体験体験では、土台を鉄の棒に付ける作業を体験させてもらえた。土台部分と棒の先端を炭の中に入れて熱し、バチバチと火の粉が散り始めたら取り出す。白い粉をスプーンですくって接続部分にまぶし、鉄の棒を付けてハンマーで叩くと土台とくっついた。この上に心鉄もしくは皮鉄を置いて、鍛接をするのだ。
鍛接をした後は、中央に切れ目をいれて折り返し、再び1枚に伸ばして再度折り返す。この作業を皮鉄と心鉄それぞれ10回程度繰り返し、皮鉄はU字に曲げ、心鉄は皮鉄に合わせて打ち整える。この作業ののち、2つを組み合わせて鍛接し、刀の形に伸ばしていく。伸びたら先端を斜めに切りおとし、小槌でたたいて打ち出す。この段階で、刀としての姿がはっきりわかってくるのだという。
残念ながら時間がなかったのでこの作業はできなかったが、ここまでの作業だけめちゃくちゃ時間がかかり、大変だということはわかった。また、工房の中はホドの熱で温度がぐっと上がるので、とにかく暑かった。若干涼しくなってきた時期に体験させてもらえたのでまだ我慢できたが、夏に作業するなんてことになれば地獄だっただろう。
工房を締め切るから一番暑い! 焼き入れ作業も体験
刃側を打ち出す「火造り上り」という作業を終えると、今度は「セン」という道具を使って小さな凸凹を平面になるように削り整え、さらに粗いヤスリで綿密に仕上げる。続いて、仕上げたものに刀紋を入れるため、ねんど・炭・砥石を混ぜ合わせた「焼刃土」を塗る。焼刃土を塗った後、800度~900度に熱した炭に入れて刀身を赤らめ、水に入れる「焼き入れ」という作業を行なう。この作業は体験させてもらったのだが、赤らめる際に暗くして具合を確認するために工房の扉を閉めて作業するので、熱がこもりめちゃくちゃ暑かった。
焼き入れ作業が終わり、最後にひずみを取って砥石で研いだら(鍛治研き)、研ぎ師をはじめとする職人に回し、刀は完成する。最後に、銘を入れる作業を体験したが、これがなかなか難しく、ASCIIと入れようとしたのにぐちゃぐちゃになってしまった。
体験してわかった、日本の“ドワーフ”刀鍛冶職人の技術はめちゃくちゃすごい!
刀鍛冶の作業を体験させてもらって一番感じたことは、刀鍛冶職人はめちゃくちゃ大変で、技術も素晴らしいということだ。作業工程では我々素人では危なくてできないことも多々あり、その作業をこなしている親方の後ろ姿は、とてもかっこよかった。ゲーム内では一瞬で終わる鍛冶作業は、実際は1日かけても終わらないのだ。
今回体験した鍛冶の技術を持ち、かつ強靭な肉体を持つドワーフが弱いわけがない! と妄想しつつ、実装される日を待とうと思う。ドワーフは、12月に実装予定だ。
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