24カ国で利用できるIoT向けのグローバルネットワークいよいよ日本上陸
KCCS、年額100円~を謳うSIGFOXサービスを来年2月から展開
2016年11月10日 07時00分更新
11月9日、京セラコミュニケーションシステム(KCCS)は、IoTネットワークサービス「SIGFOX」の国内展開を2017年2月から開始する。低速でありながら長距離の通信が可能で、低消費電力というSIGFOXを年額100円~という低廉な価格で提供する。
世界で25カ国目のオペレーターとして国内展開
SIGFOXはフランスのSIGFOX S.A.が提供するLPWA(Low Power Wide Area)の通信サービス。免許不要な920MHz帯を用いて、低価格、省電力、長距離の通信を実現しており、IoTの通信ネットワークとして注目を集めている。2016年10月時点で世界24カ国でサービスを展開しており、今回の発表により、KCCSは25カ国目のオペレーターとして国内サービスをスタートさせる。
KCCSのサービスは2017年2月に東京23区からスタートし、3月には川崎市、横浜市、大阪市まで展開。2018年3月までには政令指定都市を含む主要都市でサービスが展開されるという。各国のSIGFOXネットワークともシームレスに通信できるため、IoTサービスのグローバル展開を検討しているユーザーに最適だという。
KCCSはSIGFOXから基地局とクラウドサービスの提供を受け、SIGFOXネットワークを構築・運営し、IoTサービスプロバイダーを経由して、エンドユーザーに提供する。また、KCCSはモジュールやデバイスのメーカーに対しても技術協力を行ない、全体としてSIGFOXのエコシステムを構築するという。すでに通信事業者やデバイスメーカー、モジュールメーカー、SIerなど約40社がエコシステムパートナーとして名を連ねている。
年額100円~というアグレッシブな価格付けを計画
発表会の冒頭、登壇した京セラコミュニケーションシステム 代表取締役社長の黒瀬善仁氏は、全産業にIoTが拡がる中、安価なネットワークが重要になると強調。ここで注目されるのが、低速ながら、長距離で通信でき、コストが安いLPWAだ。現在はLPWAとしては、LoRa WANやNB(Narrow Band)-IoT、SIGFOXなどいくつかの規格があり、このうちSIGFOXは100bps(上り)と低速ながら、数十kmの伝送が可能になっている。また、消費電力も低く、電池で5年の運用が可能だという。
特に強調されたのはコストメリット。黒瀬氏は、「IoTでネックになるのはネットワーク。既存のネットワークでは、必ず月額数百円以上のコストがかかってくる。だが、安価にデータを集める仕組みがなければ、IoTは限定された仕組みでしか使われない」と指摘する。
これに対して、シンプルなSIGFOXであれば、デバイスあたり年額100円~という低価格で通信サービスを利用できるという。通信料金は回線数と通信回数に応じて設定。「1日50回以下という通信デバイスが数万台であれば、年額1000円を切る価格で計画している」(黒瀬氏)ということで、今までにないアグレッシブな価格帯を目論む。また、センサーデバイスに組み込むSIGFOXモジュール自体も低廉で、「おおむね150円前後で提供できる見込み」(黒瀬氏)という。
SIGFOX アジアパシフィック地域 代表のロズウェル・ゴルフ氏は、欧州を中心に5億人、200万㎡の通信エリアをカバーするSIGFOXのカバレッジをアピール。また、1つの国・地域に対して1つのオペレーターというポリシーで、2018年には60カ国をカバーするという計画を述べた。さらに、WiFiやLTE、Bluetooth、他のLPWAとも共存できる点もSIGFOXのメリットだと語る。
パートナーとなったKCCSに関しては「通信だけではなく、デバイスについても強い。エコシステムにも期待している」とコメント。KCCSの黒瀬氏は、「ワールドワイドで幅広く提供できるという意味では、他の規格よりSIGFOXに分がある」とSIGFOX選定の理由を述べた。