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山谷剛史の「アジアIT小話」 第134回

AMDがライセンス供与する中国製x86 CPUを振り返る

2016年11月10日 12時00分更新

文● 山谷剛史

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今後の量産が期待できそうなCPUもある!

「兆芯」のイメージ

 次に紹介するのが上海兆芯の「ZX-C」というx86 CPU。

 こちらもAMDのライセンスを受けているとのこと。わかっている限りの情報では、TSMCによる28nmプロセス、クロック数が2GHzのクアッドコアで、2MBキャッシュ、TDPは18W。

 64bit版OSにも対応しており、「SSE4.2」「AVX」「AVX2」に対応するほか、変わったところではVR機能をサポートするという。

 11月頭に開催された中国国際工業博覧会でも「ZX-C」搭載でWindowsが稼働するPCを展示し、同博覧会で金賞を受賞。「3年内に100万個を量産する」とコメントするなど、今後量産が最も期待されるCPUだ。

中国製x86 CPUのニーズはありそう

 ただ、中国の政策「中国制造2025」において、セキュアなコア国家情報ネットワークと端末が求められている中、電脳街でx86 CPU搭載PCが販売されるかというと過剰な期待は禁物である。

 とはいえ、中国では今だに大きなPCのニーズがある。個人や会社の端末として利用されるほか、街で見かける大型ディスプレーやカラオケの曲選択端末や買い物のレジやカーナビなど、さまざまなところでWindows搭載PCは活躍している。

大型ディスプレーのブルースクリーンは中国にいると何度も見かける

大型ディスプレーのブルースクリーンは中国にいると何度も見かける

 淘宝網での販売でも確認できるし、街歩きの中でも、何かの拍子にWindowsのデスクトップが大型スクリーンに映し出されたままになっていたり、ブルースクリーンになっていたりするのを見ることでも確認できる。

 そうしたさまざまなニーズの中で、低価格な中国製CPUが販売されないかという期待はある。ひいては秋葉原でも時には出回ってほしいものだ。


山谷剛史(やまやたけし)

著者近影

著者近影

フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。書籍では「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)、「日本人が知らない中国インターネット市場」「日本人が知らない中国ネットトレンド2014」(インプレスR&D)を執筆。最新著作は「中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立 」(星海社新書)。

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