今回のことば
「一旦、対外公表したものは、何があろうとも必ず達成する。やはりシャープは信頼できないとの烙印を押されれば、もはやシャープに未来はない」(シャープの戴正呉社長)
シャープ、3年ぶりの営業黒字が目標
シャープが、2016年度の通期業績見通しを初めて公表した。
売上高は前年比18.8%減の2兆円、営業利益は257億円、経常損失はマイナス163億円の赤字、当期純損失は418億円の赤字。3年ぶりの営業黒字を目指すことになる。
シャープは8月12日に鴻海精密工業からの出資が完了。本来ならば前年度決算発表の際に発表される通期業績見通しの公表を、出資完了後のタイミングまで見送ってきた。
公表したのは、2016年11月1日に発表した2016年度上期(2016年4~9月)連結業績の席上。これは鴻海出資後初の業績発表であり、しかも、8月13日に鴻海ナンバー2と言われる戴正呉氏がシャープの社長に就任してから初の公式会見でもあった。
発言内容が注目されるなかで戴社長は、2016年度の営業黒字化とともに、2016年度下期の最終黒字化、2017年度の通期最終黒字化、そして、2018年度には東証一部に復帰することを目指すことを宣言してみせた。
だが具体的な数値目標を盛り込む中期経営計画の発表については、その時期を「来年4月」とした。
一部では、今年秋にも中期経営計画を発表するのではないかとの見方も出ていたが、「まだ就任から2ヵ月半。中期経営計画の発表は、来年4月まで待ってほしい」と述べた。
先送り感がないわけではないが、その一方で、このときに発した戴社長の言葉が印象的であった。
「これまでのシャープは有言実行ではなかった。2015年度は、当初は800億円の黒字にすると言いながら、結果は2559億円の赤字。私は、有言実行を追求する」と強い口調で語り、発表した内容は必達目標に掲げる姿勢を示した。だからこそ中期経営計画は、来年4月に先送りしたともいえる。
必達目標としてのこだわりは、今回発表した2016年度通期の営業黒字化、そして2016年度下期の最終黒字化も同様だ。
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