クラウドお遍路で聞いた「実体験に基づいたクラウド社内導入への道」
AWS導入の説得に失敗し、kintone導入を成功させたエンジニアの話
2016年11月08日 07時00分更新
要因ごとに対策を練り、kintoneでクラウド導入リベンジに挑む!
AWSの導入には至らなかったが、クラウドが企業の競争力に資すると確信を抱いていた加藤さん。その後もクラウド活用の機会をうかがい続けていた。チャンスはやがて訪れた。
「ある案件の課題を、kintoneを使って解決できそうだと気付きました。Kintoneを作っているサイボウズは愛媛でスタートした会社なので、地元企業を応援したい気持ちもありました。しかし前回の経験から、技術的なアピールだけでは賛同者を得られないことがわかっていたので、導入の障壁をひとつずつ解消していきました」(加藤さん)
加藤さんはkintoneの素晴らしさをアピールするのではなく、まずkintoneで簡単なアプリを作って、実際に案件にたずさわる人に見せることにした。目の前にある課題を解決できそうな技術があることを具体的にわかってもらうためだ。解釈の仕方に個人差がある説明よりも、実際に動くアプリをひとつ見せる方が説得力があるのは当然だ。
Kintoneはノンプログラミングで短時間でアプリを開発できるので、それが可能だった。
「これにより、ふたつの障壁を乗り越えることができました。ひとつは具体的なアピールで技術の素晴らしさをわかってもらうこと。もうひとつは、現場サイドに賛同者を多く得たこと。数は権力を持ち、人を動かします」(加藤さん)
こうして足場を固めたうえで加藤さんは、決定権を持つ人々に向けて現場の人と共にプレゼンテーションを行なった。その結果、実際に動くアプリとその効果を支持する数多くの人たちの力を得て、現場へのクラウド導入に成功したのだった。
失敗要因を洗い出し、ひとつずつ克服したことがクラウド導入を成功に導いた
失敗経験から学び、クラウド導入に成功した加藤さんは、成功の理由もきちんと分析していた。ひとことで言えば拙速にならず、失敗要因をひとつずつ丁寧に克服していったこと。実際に現場の役に立っている様子を見せ、経営的なメリットを具体的に示せたこと。経営陣に訴える前に現場で多くの賛同者を得て、人を動かす権力を得たこと。kintoneでのアプリ開発を実際に見せたこと。
「現場の人々の力を得られたのが大きかったですね。数は権力になると言いましたが、特に現場からの声は実感がこもっていて説得力が違います」(加藤さん)
またセッションの最後には、kintoneであれAWSであれ、次々に刷新されるクラウド技術をひとりで勉強し続けるのは難しいので、コミュニティに積極的に参加していってほしいと訴えた。そして次の言葉でセッションを締めくくったのだった。
「ぜひ、どこかまた別のコミュニティでみなさんに再会できることを楽しみにしています」(加藤さん)
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