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盛田 諒の「アスキー家電部」 第57回

パナソニック 座るだけで内筋鍛える「コアトレチェア」

2016年11月02日 07時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita)

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 40代が勝負だという。

 30歳を過ぎると体は無条件では健康でいてくれなくなる。40歳を過ぎるとさらに状況は顕著になっていく。何もしなければ腹は出る、姿勢は悪くなる、尿漏れは増える。好きな服も着られなくなり、肩こり・腰痛は増え、「アハハ~わたしのお肉あげるわぁ~」となる。必要なのはいわゆる“適度な運動”である。

 しかしきつい運動は続かず、何をすればいいかもわからない。悩める40~50代に向け、パナソニックがリクライニングチェア型のトレーニング家電「コアトレチェア EU-JC70」を発表した。V字状に揺れる座面に体が反射的にバランスをとり、体幹の筋肉が鍛えられるという。2017年2月25日発売、想定価格30万円。

コアトレチェア EU-JC70 想定価格30万円

 体幹をバランスよく鍛えたいときの「全身コアトレコース」、おなかを引き締めたいときの「おなか・ウエストコース」、内ももなど下半身を集中的に鍛えたいときの「下腹・骨盤底筋コース」という3種類のコース(弱・強)を用意。

 「両手を上げ、左に大きく体をひねります」など音声ガイドに従うだけで、目的に適したトレーニングができる。

 本体にはマッサージチェアのように合計4つのエアーバッグを搭載。左右のエアーバッグで骨盤を固定して運動しやすくしているほか、腰・座面のエアーバッグを使って体全体をぐいーっと伸ばす「ストレッチコース」も用意した。

座っているだけで体が引きしまる

 パナソニックの乗馬フィットネス機器「ジョーバ」からV字運動を継承しながらコアトレの動きに最適化し、インテリアとして家具に調和するようなソファ型デザインにしたつくり。サイズは幅約70cm×奥行き約86cm×高さ約88cm、重量は約50kg。カラーはレッドとブラウンの2色。適応体重は約100kg以下。

操作パネル。速度は9段階で調節できる

腰、骨盤左右、座面にエアーバッグ搭載。トレーニング時に体を支えたり、ストレッチで体を押したりする

背もたれは倒せる。写真は平常時

トレーニングするときはこのようにリクライニング状態で使用する

解体モデル。シートエアーバッグで座面に傾斜をつけたりできる

同上。「V字メカ」機構によって独特のV字運動を制御している

 トレーニングコース監修はインテルミラノ長友佑都選手のパーソナルトレーナーとして知られる木場克己さん。なかなか鍛えづらいインナーマッスルを、スポーツクラブに行かなくても自宅で整えられるメニューを考えたという。

 コアトレチェアで鍛えるインナーマッスルは、たとえば脊柱24個の骨1つ1つについていて、衰えると転びやすくなるという「多裂筋」。“筋肉のコルセット”とも呼ばれ、姿勢を安定させる役割をもつ「腹横筋」。骨盤の底でハンモックのように内臓を支え、衰えると尿漏れが起きやすいという「骨盤底筋」。骨盤底筋につながり、やはり衰えるとO脚になりやすいとう「内転筋」など。

 インナーマッスルが弱ると腸がずるんと落ち、腹部大動脈という動脈の血流が悪くなり、冷え性やむくみにつながる悪影響もあるそうだ。おそろしい。

内腹斜筋、多裂筋、腹横筋、内転筋、骨盤底筋などが代表的なインナーマッスル

インナーマッスルが衰えると「あっ知ってる……」という症状があらわれる

 パナソニックの社内評価では、コアトレチェアによるトレーニングは一般的な体幹トレーニング以上の筋活動量が得られており、ようするに独学でコアトレをするより鍛えられたという。モニター結果では3週間でウエスト11.4cm減、下腹9.1cm減という信じがたい成績を叩き出した男性もいたそうだ。

 モニターの特徴はいずれもあまり体重が減っていないこと。ダイエットではなくあくまで体を内側からひきしめるのがコアトレチェアの目的だ。

座面のV字運動、傾斜、エアーバッグによりトレーニング効果を出す

いわゆる「ジョーバ」スタイルの「またいでコアトレ」も可能

社内評価では一般的なトレーニングよりも高い効果が得られたという

ウエスト、下腹、ヒップの引き締め効果もあったそうだ(同上)

モニター結果。中央のTさんがすさまじい。ウエスト11cm減、下腹9cm減

女性モニター結果。あらためてTさんの異様さが際立つ

基本はラクだが、本気でやると「きっつー!」

 発表会場にはパナソニックがごていねいに記者用コアトレチェアを並べており、スーツ姿の記者たちがぷるぷると手足をふるわせながらコアトレに挑んでいた。33歳のわたし、30歳になったばかりの酒飲み記者ナベコさんも挑戦した。

 やってみたのは全身コアトレコースの冒頭数分間。V字にグングン動いているときトレーニングしている感覚はほとんどなく、本当に鍛えられているのか心配になるほどだった。ただし両足を上げて腹式呼吸をしながら体をひねる運動などになると負荷が大きくなり、「きっつ!きっついわ!」と笑ってしまった。終わったときは普段使っていない内ももがかなり疲れていた。

 隣でトレーニングしているナベコさんをちらりと見てみると、口元は笑っていたが目からは光が消えていた。ウレタンマットで片足立ちをする体幹バランスチェックでは「飲んできたのかな?」と思うほど盛大に揺れていたので、おそらく全身のインナーマッスルがワッショイしていたものと推察する。

 超高齢化社会、60~70代も現役でやっていくには体が資本。40代にしっかり鍛えられているかが勝負どころとなる。まだ時間と体力があるうちは努力でどうにかしようという気でいるが、わたしの性格を考えると、金で健康が買えるなら買えばいいじゃねーのと言いはじめ、30万円は自己投資と考えそうな気もする。




書いた人──盛田 諒(Ryo Morita)

1983年生まれ、家事が趣味のカジメン。来年パパに進化する予定です。Facebookでおたより募集中

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