スマホがPCに取って代わることはない
「たとえば企業のなかに一歩足を踏み入れると、『スマートフォンは手元にあり、PCは使われていない』という状況ではなく、『スマートフォンは手元にあり、PCも手元にある』という環境にある。多くの人がPCは終わるという見方をしていたことが、この誤解が、私たちに絶好のビジネスチャンスを与えてくれた。実際に起きていることと、実際に人々が考えていることとの間に相違が生まれ、そこにビジネスチャンスがある。多くの人が考えているのは、『多くの仕事はスマートフォンでこと足りるだろう』ということ。しかし、実際の顧客の多くは『スマートフォンは好きだが、PCを捨てることはできない』と考えている。PCでなくてはできない仕事がある。つまり、PCかスマホか、という話ではなく、どちらも必要であるということ」と話す。
そして、デル会長兼CEOは、こんな比喩を述べる。
「移動手段には、歩行、自転車、車、飛行機、ボート、カヤック、そしてグライダーなどがある。コンピューティングもこれと同じ。PCだけでなく、スマートフォン、タブレット、ウェアラブル端末など、様々なものがある。そして自転車を持っているから、クルマを所有してはいけないというわけではない。飛行機を持っていたとしても、歩くことはやめない。あなたが靴を手に入れたときに、『私は二度とボートには乗りません。なぜなら、靴があるからです』などということはありえない。移動の手段ということを考えれば当然のこと。コンピューティングも、『手段』としてとらえれば同じことです。スマホを所持しているから、PCやウェアラブル端末を所持しないというということではない。複数を持ち合わせていることが大切である。だからこそ、PCの成長にはまだまだ可能性がある」
だが、その一方で、デル会長兼CEOは、スマホ市場への参入には、まったく興味を示さない。
この連載の記事
-
第606回
ビジネス
テプラは販売減、でもチャンスはピンチの中にこそある、キングジム新社長 -
第605回
ビジネス
10周年を迎えたVAIO、この数年に直面した「負のスパイラル」とは? -
第604回
ビジネス
秋葉原の専門店からBTO業界の雄に、サードウェーブこの先の伸びしろは? -
第603回
ビジネス
日本マイクロソフトが掲げた3大目標、そして隠されたもう一つの目標とは? -
第602回
ビジネス
ボッシュに全株式売却後の日立「白くまくん」 -
第601回
ビジネス
シャープらしい経営とは何か、そしてそれは成果につながるものなのか -
第600回
ビジネス
個人主義/利益偏重の時代だから問う「正直者の人生」、日立創業者・小平浪平氏のことば -
第599回
ビジネス
リコーと東芝テックによる合弁会社“エトリア”始動、複合機市場の将来は? -
第598回
ビジネス
GPT-4超え性能を実現した国内スタートアップELYZA、投資額の多寡ではなくチャレンジする姿勢こそ大事 -
第597回
ビジネス
危機感のなさを嘆くパナソニック楠見グループCEO、典型的な大企業病なのか? -
第596回
ビジネス
孫正義が“超AI”に言及、NVIDIAやOpen AIは逃した魚、しかし「準備運動は整った」 - この連載の一覧へ