このページの本文へ

業界人の《ことば》から 第218回

社員が辞めたら補充すればいいという発想は悪しき文化

2016年10月25日 09時00分更新

文● 大河原克行、編集●ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

補充という考えはしない

 「育てるという意識が低いため、辞めたら補充すればいいと考えている。これでは事業品質は高まらない」

 今年の新人配属に、久保社長は口を挟んだ。

 「社員が辞めた組織の課長の下に、新たな社員を配属しても育てることができるのか。優秀な営業マンが、優秀な管理者であるとは限らない」とし「補充という考え方はしない。もう一度、配属を見直してほしい」と語った。

 久保社長の要請に、約7割を変更した配属案が示されたという。「こんなに変わるとは思わなかった」と久保社長は苦笑いする。

 「私が求めている営業はモノを売れる営業ではない。モノが売れるのは当然のことであり、むしろマネジメントができ、チームの力を高めることができる営業が必要」とする。

166人にそれぞれ3時間かけた地獄の説教

 久保社長は大学卒業後、最初に入社した会社の社長に「俺がシロといったら、カラスもシロだ」と言われ、その考え方に違和感を持って退社した経験を持つ。その経験をもとに、社員が正しく働くことができる環境づくりを目指す。

 久保社長は今年度上期中に、166人の部長に対してそれぞれ3時間をかけて、自らの考えと方針を説明した。

 「社内では、これを『地獄の説教』と呼ばれていた」と久保社長は笑う。

 徹底した議論は社員にとって地獄だったのかもしれないが、一日中ずっと喋っていられるぐらい話好きと自ら語る久保社長にとっても「地獄」だったようだ。

 さらに7、8月は、営業/サービス部門の本部長を対象に、全国10ヵ所の支店で対話を実施。さらに10月からは3ヵ月をかけて、600人の課長を対象に中期経営計画の狙い、目指す事業品質などについて直接説明する場を設けるという。

 そして、事業品質を高めるという点で、顧客に対する姿勢についても変革をうながす。

カテゴリートップへ

この連載の記事

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ