通信カラオケも支えていた!TAKERUの知られざる一面
TAKERUの本質は、通信回線を使ってデータを販売するところにある。PC用のソフトとして販売するためには保存用のメディアとしてFDなどが必要だったが、データだけを扱うのであれば、持ち帰るためのメディアは不要となる。こういった用途で注目されたのが、「通信カラオケ」だ。カラオケは、物理的なメディアのセットを入れ替えながら再生するという方式が多かったため最新曲への対応が遅れがちだったが、通信カラオケなら、必要な楽曲データだけをダウンロードすればよく、曲数を簡単に増やせることからヒットした。
ブラザー工業グループのエクシングが提供する『JOYSOUND』の初期では、この楽曲の中継サーバーとしてTAKERUを利用。昼間はソフトの販売として活躍し、夜はカラオケの中継サーバーという、2つの顔を持っていたのだ。この機能が追加されたのが、3代目のTAKERU。そう、「ある秘密の機能」というのは、実は通信カラオケの中継サーバー機能だったのだ。1台のTAKERUで300台ものJOYSOUNDがサポートできるよう設計していたというのだから、ずいぶんな働き者だ。TAKERUでソフトを買ったことがないという人でも、実は、TAKERUにお世話になっていたという事実に驚かされる。
TAKERUで売られていた有名タイトル
TAKERUで扱われていたソフトはパッケージで販売されていたものだけでなく、TAKERUでしか売られていないソフトも多くあった。大人気ゲーム『ソーサリアン』の追加シナリオ、『宝魔ハンターライム』などは、TAKERU専売のタイトルとして有名だ。また、今でも人気の高いRPG作成ソフトは当時からあり、とくに『RPGツクールまみりん』は1万5000本ほど売れたという。数だけ見れば少なく感じてしまうが、当時のPC普及率(10パーセント前後)と機種の多さを考えれば、かなりの販売数だ。
ビジネスや実用ソフトも多く扱われていたが、やはり数が多いのはゲーム。『A列車で行こう』、『三国志』、『大戦略』といった誰もが聞いたことあるメジャータイトルはもちろん、アマチュアによる同人ソフトなどの販売もあった。
また、PCの主流が16ビット機や32ビット機へと移っていく中、MSXなどの古い機種用のソフトはどんどんリリースされなくなり、さらに、古いソフトもパッケージ版は販売終了となることが増えてしまった。こういった古い機種用のソフトが入手できる数少ない手段として、TAKERUはありがたい存在だったのだ。
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