このページの本文へ

前へ 1 2 3 次へ

ソフトベンダーTAKERU 30周年 レトロPC/ゲームを振り返る 第5回

『TAKERU』約20年ぶりのアキバ登場に大興奮!? レトロPCと一緒に展示された2日間

2016年12月06日 18時00分更新

文● 宮里圭介

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

当日、会場に掲示された案内看板

 11月26日、27日の2日間にわたり、UDX秋葉原で開催された『いま蘇る、TAKERU伝説 ~レトロPCゲームと語る30周年~』。TAKERUの実機展示を筆頭に、レトロゲームの展示、当時のPCゲーム事情をよく知る登壇者たちによるトークステージがあるなど、非常に濃厚なイベントとなった。秋葉原へTAKERUが設置されるのが約20年ぶりとなることもあってか、当時利用していた人を中心に多くの来場者でにぎわい、一時は入場制限がかけられるほどに。実際どんなイベントだったのかを、駆け足で振り返ってみよう。

開場してしばらくは余裕があったものの、夕方近くになると来場者が増加。一時的に入場制限がかけられる時間帯もあった。

TAKERUは内部まで見られる大サービス展示!

 このイベントの目玉といえるのが、TAKERU本体。会場のド真ん中に展示されていることもあり、誰もがまず最初に近づいていき、懐かしむ姿が印象的だった。このTAKERUは、名古屋にあるブラザーの展示施設「ブラザーコミュニケーションスペース」で展示されているもの。この日のためにわざわざ秋葉原まで運ばれてきた、現存する最後の1台だ。なお、残念ながら動作はしないため、Windows用の『おうちでTAKERU』を画面に表示し、当時の雰囲気を再現していた。

約20年ぶりに秋葉原へ登場したTAKERU。みんな写真を撮りまくっていた。画面はWindows用の『おうちでTAKERU』を表示したもの。

 おもしろいのが単純に展示しているだけでなく、ときより内部を公開していたことだ。当時利用していたユーザーでも内部を見たことある人は少ないためか、カバーが開けられると多くの人が集まり、何枚も写真を撮っている姿が見られた。ICやコンデンサーなどがゴテゴテついた基板は今では珍しいし、プリンターがほぼそのままの形で内蔵されているというのを初めて知った、という人は多かったのではないだろうか。

これが最初で最後かもしれない、TAKERU内部の公開。カバーが開けられると多くの人が集まってきた。

開発者である安友氏も会場におり、ときおりTAKERUの横に立っては説明などをしている姿を見かけた。

懐かしの“あのゲーム”が実機で登場
しかも自由に遊べる!

 会場にはTAKERUだけでなく、レトロゲームもプレー可能な状態で展示されていた。しかもこれはエミュレーターによる再現ではなく、当時のPCを使った本来の状態での展示。ゲーム音楽はもちろん、ドライブのアクセス音や待ち時間まで、すべてが当時のまま体験できるわけだ。PC本体はPC-9801シリーズをはじめ、PC-8801、X68000、MSX2+、FM77、FM TOWNSなどそうそうたるメンツ。ゲームも『ソーサリアン』や『テグザー』、『ぷよぷよ』、『太陽の神殿』、『ダイナソア』など、当時ゲームで遊んでいた人なら誰もが一度はプレーしたことがある、もしくは聞いたことがあるタイトルが並んでいた。

多くの機種に移植され、誰もが遊んだことがあるといっても過言ではない『ソーサリアン』。職業選びで悩んだ人も多いのでは。

TAKERUで売られていたソフトとして展示されていた、アクションゲームの『タケル伝説』。後で気づいたが、よく見るとROM版だ。

シリアスなRPGとして異色の作品となった『ダイナソア』。ゲームもさることながら、小型の一体型TOWNSが懐かしい。

当時のゲームとは思えないグラフィックレベルの高さで、インパクトのあった『ザース』。このシーンはとくに有名だ。

懐かしい当時のパッケージもそのまま展示

 実際にプレーはできないものの、さらに多くのレトロPCゲームがケースに並べて展示されており、当時を思い出すかのように足を止めてじっくりと見ている人が多かった。たまに、「これ持ってた!」という声も聞こえてきた。

 PCゲームをあまりやらなかった人でも、ファミコンなどの家庭用ゲーム機に移植されていたタイトルが多かったため、懐かしく感じられたのではないだろうか。同じゲームソフトが並んでいるのもあるが、これは機種ごとにリリースされたため。同じものが何種類も作られるというのは今では考えられない状況だが、当時はこれが当たり前だった。

デービーソフトの代表作、『フラッピー』『うっでいぽこ』。ファミコンにも移植されているので、遊んだことがある人は多いのでは。

『大戦略』や『信長の野望』といったシミュレーションや、スクウェア(現スクウェア・エニックス)のアドベンチャーなど、懐かしいタイトルが並ぶ。

日本テレネットのアクションゲーム『夢幻戦士ヴァリス』シリーズ。多くの機種に移植されているが、機種によって内容が大きく変更されたりしている。

多キャラシミュレーションRPGの先祖ともいえる、『ボコスカウォーズ』。「すすめ すすめ ものども♪」などと思わず口ずさんでしまう(これはファミコン版だっけ?)。

入り口付近ではD4EとBEEPによる物販も

 レトロゲーム復刻事業を手がけるD4Eと、当時のレトロPCやレトロゲームを取り扱っているBEEPによる物販コーナーも展開されていた。D4EはサントラCDを主に販売し、中にはレアな『Yuzo Koshiro EarlyCollection 2nd+』も並んでいた。BEEPはオリジナルのゲーム雑誌『EXTRA mag.』やTAKERU Tシャツ、オーバーホール済みの『HB-F1XD』(MSX2)などを販売。ゲーム展示と同様、多くの人でにぎわっていた。

D4Eでは多くのサントラCDが並び、「蔵出し!」表示がある『Yuzo Koshiro EarlyCollection 2nd+』も。限定CDの復刻版だが、今では入手が難しくなっている。

古代祐三氏の音楽が好きだという編集者(カクッチとかいう人)が思わず購入。CDを手にご満悦の様子。

BEEPではゲーム雑誌『EXTRA mag.』の#1、#2を販売。「特別販売」と書かれたMSX2『HB-F1XD』も並べられていた。

当日スタッフが来ていた黄色いTシャツの色違いバージョンとなる、TAKERU Tシャツも販売。

当時のユーザーが多いだけに年齢層は高め……でもみんな楽しそう!

 すでにTAKERUが消えてから20年近く。当時使っていたという人も30代後半から40代が中心となるだけに、来場者の平均年齢は高めだ。しかし当時を思い出すのか、自然と笑顔になって楽しそうな姿が多いように感じられた。また数は少ないものの、中にはTAKERUを知らなくともレトロゲームが好きな若い人、家族連れの姿も見かけた。

 朝早くから来場していた女性に話を聞いてみると、なんと、今回TAKERUのイベントのためにわざわざ関西から来たとのこと。ちょうどTAKERUが終わるくらいのタイミングでPC-98とゲーム一式を譲り受け、それからPCゲームを楽しんでいるという。TAKERUの存在は知っていても実物を見たことがなかっただけに、来てよかったと話していた。

来場者プレゼントとして用意されたFD型メモ帳。あえての2DDというところにこだわりが感じられる。限定数だっただけに、もらえた人はラッキーだ。

前へ 1 2 3 次へ

この連載の記事

週刊アスキー最新号

編集部のお勧め

ASCII倶楽部

ASCII.jp Focus

MITテクノロジーレビュー

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード
ピックアップ

デジタル用語辞典

ASCII.jp RSS2.0 配信中