マイクロソフトとの連携、960MHz帯・2.4GHz帯のモジュールも発表
モジュールと利用料で1万円切ったさくらのIoT Platform βがスタート
2016年10月06日 12時00分更新
API経由での柔軟なデータ連携と高いセキュリティ
通信モジュールに続き、データの保存や連携を実現するさくらのIoT Platformの機能に関して、さくらインターネットの江草陽太氏から説明された。
データ連携は、HTTP WebhookやWebSocket、MQTT Brokerなどが利用可能で、リアルタイム連携とバッチ処理の2つが用意される。バッチ処理は通信モジュールからアップロードされたデータをいったん保存し、一括取得したり、APIで条件を指定して取得することが可能になっている。
また、データの保存・参照も、共通領域に保存する「オープン」、自アカウントのみ閲覧可能な「クローズ」、ユーザー専用環境に保存できる「プライベート」の3つが用意される。さくらのIoT Platform自体が、さくらの通信モジュールを経由しなければデータを送受信できず、インターネットからのアクセスもAPI経由でしか行なえないため、高いセキュリティを実現するという。
さらにβ版の通信モジュールではユーザーがプラットフォーム側にアップロードしたファイルをダウンロードできる機能が提供される。双方向の通信により、クラウド側からファームウェアを更新できるので、通信モジュールも継続的に進化できる。また、時刻同期の仕組みをマイコン側に対して提供する。
ハウステンボスのPoCも発表!パートナーとの共創が加速
これら多くの機能はα版のフェーズで、さまざまなパートナーと共創してきたものだ。たとえば、primesapでは、Intel Edisonと加速度/温度/湿度/照度センサー、そしてさくらの通信モジュールを組み合わせたデバイスを使って、病院のベッドごとに入眠後の体の動揺を計測したという。
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primesapのデバイスを披露するさくらインターネット 執行役員 技術本部副本部長 江草 陽太氏
さらにシェアリングエコノミーを意識したスマートロックであるtsumugや警備会社や警察、消防などで利用できる通報端末などの利用例も披露。ユーザーからは「デバイスの組み込みが容易で、プロダクト開発に専念できる」「既存のインターネット回線に影響せず設置・撤去が可能」「閉域網を使ったセキュリティの高さと安心感」などの好意的な意見が得られたという。
今後、ハウステンボスとのPoCも予定されており、パーク内のゴミ箱に集積量をセンサーを取り付け、自動的に回収する仕組みを構築する実証実験をさくらのIoT Platformで進めていくという。LTEモジュールのみならず、920MHz帯と2.4GHz帯のゲートウェイ型モジュールも活用し、よりよい利用方法について検証を進める。
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ハウステンボスのPoCの予定
マイクロソフトとのデータ連携も実現
続いてフェローの小笠原治氏が、連携パートナーに関して説明を行なった。α版の発表時には、IBM Bluemix、myThings(Yahoo!)、AWS、Milkcocoa(ウフル)、BOT TREEとの連携が発表されており、さくら側に蓄積されたデータをAPI経由で利用することができる。
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さくらインターネット フェローの小笠原治氏
イベントではIBM Bluemixの村上氏が登壇。IoT開発を容易に行なえる「node-RED」を用い、ドラッグ&ドロップでIoTサービスを構築するデモを披露した。また、Yahoo! myThingsにおいても、さくらのIoT Platformのチャネルが追加され、天気や災害の情報をトリガーにし、さくらのIoTデバイスにフィードバックするようなサービスを容易に開発できるようになるという。さらにさくらのIoT Platformと連携し、家電と会話できるBOT TREEのボットアプリも披露した。
今回は、新たに日本マイクロソフトとの連携も発表された。登壇した日本マイクロソフトの大谷健氏は、マイクロソフトのIoTへの取り組みについて説明。x86/ARMに対応するWindows IoT Coreを完全無償で提供するほか、Microsoft Azureにおいても数百万のデバイス接続をカバーするAzure IoT Hubを展開していることをアピールした。今回のさくらのIoT Platformとの連携は、デバイスとクラウドをセキュアにつなぐという点で、「Best Together」のパートナーシップになるという。
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日本マイクロソフト クラウド&エンタープライズビジネス本部 エグゼクティブプロダクトマネージャー 大谷健氏
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