マイクロソフトとの連携、960MHz帯・2.4GHz帯のモジュールも発表
モジュールと利用料で1万円切ったさくらのIoT Platform βがスタート
2016年10月06日 12時00分更新
10月5日、さくらインターネットは、CEATEC開催中の幕張メッセにおいて「さくらのIoT Platform β」の発表会を開催した。LTEに加え、920MHz帯・2.4GHz帯のモジュール提供やマイクロソフトとの提携が発表されたほか、定価9960円というアグレッシブな価格も発表された。
さくらのIoT Platformは「データを迎えに行く」IoTサービス
さくらのIoT Platformは、IoTの開発を容易にするプラットフォームサービス。データの保管や活用を行なうクラウド側のサービスのみならず、IoTデバイスに搭載可能な通信モジュール、セキュアな閉域網までを一気通貫で提供する。今年の2月にα版が投入され、パートナーとの共創による機能面でのブラッシュアップが図られてきたが、いよいよβにフェーズを移し、量産前提の通信モジュールを提供することになった。
発表会に登壇したさくらインターネット IoT事業推進室 部長の山口亮介氏は、現在のIoT開発において、すべてを自社でやるのは現実的ではないと指摘。ネットワークとデータのやりとりをするだけなのに、デバイスや通信、データストアなどの開発に大きな負荷がかかる現状を打破すべく、通信やデータ連携に関わる部分をさくらのIoT Platformがすべて担うことで、もの作り・サービス作りに専念できる環境を実現していくという。
特にさくらのIoT Platformでは、クラウド側のサービスに注力している他社と異なり、「データを迎えに行く」という発想で通信モジュールまでを提供する。これにより、モノにモジュールを組み込めば、電源を入れるだけで利用可能になり、接続の知識や現地のネットワークも不要になるという。
LTE版のみならず、920MHz帯と2.4GHz帯にも対応予定
続いて登壇したさくらインターネットの椚座淳介氏は、β版で提供される通信モジュールについて説明した。
さくらの通信モジュールはクラウド側とデータを送受信するためのデバイス側のエッジにあたる。I2CやSPIなどのインターフェイスを介して、マイコンからデータを受け取り、LTEの閉域網を介して、データをクラウドにアップロードする役割を持つ。今回提供されるβ版では脱プロトタイプを念頭に新規に設計を行ない、量産を考慮した形状、価格、品質を実現したという。
実際の通信モジュールはSDカード2枚分の基板に、ソフトバンク、アルティア、太陽誘電が共同開発したカテゴリ1のLTEモデムを搭載する。アイドル時で2mA以下という低消費電力で、電池で数ヶ月の運用が可能。商用版では年単位の運用も視野に入れるという。単なるモデムではなく、TCP/IPやモデム制御などのプロトコルスタックまでを含んでいるため、開発者はコマンドインターフェイスを実装するだけで、I2CやSPIで受け取ったデータをクラウドに送信できるという。
従来、対応する通信規格はLTEのみとされていたが、今回はLoRaで利用できる920MHz帯と2.4GHz帯のモジュールが開発されていることも明らかにされた。ゲートウェイ不要で高速なLTEに加え、短距離ながら大容量伝送可能な2.4GHz帯の通信、伝送能力は低いものの距離と消費電力面でメリットの大きい920MHz帯の通信をサポートすることで、さまざまな無線通信のニーズに対応するのが大きな特徴。サイズやインターフェイスはすべて共通のため、複数の規格に対応した製品の開発が容易になるという。