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業界人の《ことば》から 第215回

アプリは21年インフラは5年利用、企業IT投資が進まない

2016年10月04日 09時00分更新

文● 大河原克行、編集●ASCII.jp

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今回のことば

 「個人のIT投資は、10年で4倍になっているのに対して、企業のIT投資は横ばいのまま。しかも、IT予算の8割が保守やセキュリティに使われている」(米オラクルのマーク・ハードCEO)

 米オラクルが2016年9月18日~22日(現地時間)、米カリフォルニア州サンフランシスコで開催したOracle Open World 2016は、全世界141ヵ国から6万人が参加。会期中には2249のセッションがあった。

 同社の試算によると、Oracle Open World 2016の開催によってもたらされるサンフランシスコ市への経済効果は1億9400万ドル。昨年の1億2800万ドルをはるかに上回るものとなった。会場となったモスコーニセンターの2つの施設に挟まれるハワードストリートは、このイベントのために閉鎖。会期中はまさに街全体がOracle Open World 2016によって埋め尽くされた格好だ。

 恒例となっている日曜日夕方のラリー・エリソン経営執行役会長兼CTOの基調講演では、第2世代と呼ぶIaaSを提供することを発表。AWS(Amazon Web Services)がIaaSよりいち早く取り組んでいることについては「パイオニアであり、尊重している」と前置きしながらも、RedshiftやAuroraをAWSで動作させる環境と比較しても、Oracle Cloudの方が100倍から1000倍ものパフォーマンスが高いこと、それでいてコストは20%減で済むといったことを具体的なデータで示しながら「AWSはOracle Databaseに最適化されていないばかりか、自らのRedshiftにおいても最適化されていない」、「Redshiftで開発したものは、Redshiftでしか動作しないものであり、IBMのメインフレームよりも閉鎖的である」、「AWSはこれから深刻な状況に陥ることになる」などと語り、AWSへの対抗意識を露わにした。

 あわせてオラクルのクラウド事業が予想を上回る成長を遂げていることや、クラウドベンダーとして最も成長している企業であることを強調。SaaSおよびPaaSに加えて、戦略的ともいえるIaaSの提供を開始することでクラウド事業をさらに加速させる考えを示した。

 エリソン氏がCTOという立場から製品戦略を語ったり、デモストレーションに時間を割いたのに対して、経営の立場から講演したのがマーク・ハードCEOだ。

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