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世界一のプラネタリウムの職員に聞く 『宇宙戦艦ヤマト』惑星イスカンダルはどこにあるの?

2016年09月30日 17時00分更新

文● ちゅーやん

世界で4番目に大きなプラネタリウムでもある

 今回、お話をお伺いしたのは多摩六都科学館 研究交流グループ 天文チーム チーフ・雨森 勇一さん。

雨森勇一さん。名刺には後述する投影機「CHIRON II」が描かれている

── 本日はよろしくおねがいします。それにしてもこのプラネタリウム、めちゃめちゃ大きいですね。

雨森さん:このドーム状になっている「サイエンスエッグ」は直径27.5メートルもあるんです。プラネタリウムのドームとしては、世界で4番目に大きいんですよ。

── 4番目!?

雨森さん:世界で大きいところから順に、「名古屋市科学館」(直径35メートル)、「中国科学技術館」(直径30メートル)、「愛媛県総合科学博物館」(直径30メートル)に次いで、この多摩六都科学館となっています。

── ほとんど日本じゃないですか!

雨森さん:日本ではほとんどの都道府県にプラネタリウムがあるくらいです。世界に目を向けても、大きさだけでなく、国面積に対する施設の数で言えば相当多い方ですよ。

── たしかに、都内でもいくつもありますよね。そんな中、多摩六都科学館は“ギネス世界一”に選ばれたんですよね?

雨森さん:2012年に最も先進的なプラネタリウムとして、認定されました。

アナログとデジタルのハイブリッド

── おおー! すごいですね。どういった理由で選ばれたんですか?

雨森さん:直径27.5メートルの大型ドームに、光源にLED電球を使って世界最多1億4000万個の星を投影しています。これを演出しているのが2012年のリニューアルにともなって導入した「CHIRON II(ケイロンII)」という投影機です。

迫力満点のプラネタリウムを楽しめるのも多摩六都科学館の魅力のひとつ

── CHIRON II?

雨森さん:昔ながらのプラネタリウム投影機で“光学式”と呼ばれています。光学式とは、投影機の中に星の数だけ穴の空いた板が入っています。電球から出た光が板の穴をとおって外側部分にあるレンズで集められ、ドーム内に星を映し出すという仕組みです。

CHIRON II。ロゴは半人半馬の「ケイローン」。

── CHIRON IIだけで全部の星空を演出しているんですか?

雨森さん:当館では、CHIRON IIだけでなく「バーチャリウム II」という投影機も同時に利用しています。CHIRON IIが“アナログ式”と言うとしたら、バーチャリウム IIは“デジタル式”ですね。

── ということはPCを使っている?

雨森さん:そうですね。バーチャリウム IIはPCでつくった星空のデータを4Kプロジェクターで投影しています。

── つまり……デジタルとアナログのハイブリッド!

雨森さん:光学式投影機では、星を細かくシャープにし、本物の空のように映し出すことができます。ただ、光学式には限界があって基本的に地球から観た星しか映すことができないんですよ。

── あー、なるほど。

雨森さん:星空って二次元ではなく、地球までの距離って星ごとに違うので、立体的に存在するものじゃないですか。今は天文位置衛生などが打ち上げられたりしたことで、宇宙の立体地図(=三次元の地図)がつくられていて、それをPCから出力できるのがデジタル式投影機なのです。
 このデジタル式投影機のおかげで地球以外の位置から観た星空もプラネタリウムで投影できるようになったのです。

── アナログでカバーできない部分をデジタルで補うということですね。

雨森さん:2種類をミックスさせて楽しめるのが多摩六都科学館の最大の特徴です! プラネタリウムのプログラムによっては、宇宙旅行的な演出があるものもあり、そのプログラムではデジタル式投影機が活躍してくれます。

CHIRON IIの周りにある黒いのがバーチャリウム IIのプロジェクター

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