2年に1度のカメラの祭典! Photokina2016レポート 第11回
OM-Dシリーズ最高峰モデルの開発ポイントは!?
スピードを追求! オリンパス「E-M1 Mark II」の開発者に直撃インタビュー!
2016年09月23日 10時00分更新
ボケ味にこだわった新レンズ
新レンズでは、「M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO」「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO」という2本のPROシリーズのレンズも発表。25mm F1.2は、明るい単焦点レンズが欲しいという声に応える形で開発したという。
これまで、F2.8通しのズームレンズをそろえるなど、ある程度の焦点距離はカバーできたとの判断で、「いよいよ単焦点に踏み込める」(片岡氏)というタイミングだったのが今回だった。
開発にあたっては、明るいレンズというだけでなく、味を出したいということで、ボケ味にこだわったという。
通常のレンズは、MTF曲線で解像力を高くして、それを阻害する各種の収差を抑えるという設計になると片岡氏。収差は画質への悪影響のため、「あるレンジ内に収める」ように設計するが、ここで「収差にある傾向を出す」(片岡氏)ことで、ボケをコントロールできるという。
これによって、MTFが高く、収差を抑えながら、ボケの出方をコントロールした。そのため、25mm F1.2ではボケがなだらかにグラデーションで消えていくようなものを実現したそうだ。
ただ、これを実現するためには、「端正に収差を抑えていかないとコントロールできない」(片岡氏)。レンズ1つ1つで収差を抑えていったことで、結果的に「25mmなのに17群19枚のレンズになった」と片岡氏は笑う。
それだけでなく、E-M1 Mark IIの高速AFなどに対応するためにレンズ群を極力軽くすることも必要だった。特に動画に対応した設計が必要な時代で、そうした点も考慮しながら開発したそうだ。
もう1本の12-100mm F4.0は、高倍率ズームでありながらF4通しを実現している。これまでF2.8通しのズームレンズシリーズ(いわゆる大三元)を作ってきて、次はF4通しのズームレンズシリーズ(いわゆる小三元)も検討したが、「それでは面白くない」(片岡氏)。
そこでF4通しのズームレンズ2本を1本にしたようなスペックのレンズを、しかも光学性能を高くする、さらにワイド端でレンズ前1.5cmまで寄れるようなレンズ、「究極の全部入り」(片岡氏)というレンズを目指した。
こうしたレンズが実現できたのは、「レンズ技術の積み重ねがあった」と片岡氏は強調する。レンズの組み合わせによる特徴、新たな硝材の登場、マイクロフォーサーズのフランジバックの短さといったノウハウを結集して開発が行なわれた。
当然、E-M1 Mark IIの高速AFに対応するためにレンズ群を軽量化しつつ、3つあるアクチュエーターもコントロールして実現したのがこのレンズだ。
コンピューターシミュレーションが進化の鍵に
こうしたE-M1 Mark IIと新レンズの開発で威力を発揮したのがシミュレーションだ。同時開発するセンサーとエンジン、放熱といった本体の開発に加え、レンズのボケのコントロール、高倍率ズームでのF4通しの設計など、シミュレーション技術が進化し、コンピュータの性能が向上したことで、カメラやレンズの設計技術も進化したと片岡氏。
ボケ味のコントロールといったアナログの技術の背景には、デジタルであるコンピューターの進化が欠かせなかったのだ。
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