GitHubの拡大ぶりには目を見張ります。
個人的には、開発者同士がオープンソースのプロジェクトを進めるコラボレーションの場としてのイメージが強かったのですが、実際に彼らのビジネスを紐解くと、無償のオープンソースプロジェクト向けのアカウント以上に、商用アカウントのビジネスが拡大しているのです。
GitHubは9月14日から、「GitHub Universe」をサンフランシスコで開催しました。入り口は、ちょっと心配になりそうな港の古い倉庫のロケーションでしたが、その中に設置された会場は美しく、整然とデコレーションされ、数々の興味深いセッションが展開されました。
半数以上のスタッフがリモートで働くGitHubのオフィス
カンファレンスに先立って、GitHubのオフィスツアーが開催されました。
1階部分は広々とした、おしゃれカフェやなダイニングといった雰囲気。カフェには、地元サンフランシスコで最も尊敬を集める、サードウェーブの名付け親がオーナーの、レッキンボールロースターの豆が入っています。また、バーには世界中のお酒が並び、現在人気爆発中の日本のウイスキーも並んでいました。良いセレクトです。
コンテナを使った会議室は、開発者をニンマリとさせ、セミナーのスペースも用意されているなど、人が集まれるスペースを用意するオープンさは、GitHubらしいfacilityだと感じました。
聞くと、55%がサンフランシスコの本社以外から仕事をしているリモート中心のワークスタイルだそうです。
GitHubで展開されるように、場所や時間にかかわらず、1つのプロジェクトに参加することが当たり前のオープンソースプロジェクト。これを支えているGitHubは、社内の働き方も場所や時間にとらわれないマネジメントを行なっているそうです。
ただ、オフィスがない地域からの採用は、すでにリモートで働いている人がいる街の方がやりやすいとのことです。定期的にその街でミーティングをしたり、何かあったときにお互いサポートしあえると、より安心して働けるからという理由でした。
その働き方を、開発者以外にも
GitHubには、開発者としての役割を担う人だけが勤めているわけではありません。マーケティングやセールス、サポートといった仕事もあれば、会社の運営に携わる仕事をこなす人たちも当然います。彼らも開発者と同様に、リモートでの仕事が可能になっている点はユニークだと感じました。
GitHubは、プログラムのバージョン管理を行なうコミュニティですが、企業が利用すると、企業内でコードを共有したり、共同編集のプロジェクトを進めることが可能になります。しかも、扱える情報は必ずしもコードである必要はないのです。
たとえば筆者の周りでも、著者と編集者がGitHubでテキストを共有して書籍を仕上げるという話を耳にしますが、こうした使い方をすることもできるのです。
コラボレーションを前提とした仕事の仕方は、プロジェクトに対して、個人が適切に、自分の能力や知識を提供し、物事をポジティブに前に進めていくことです。結果的に、ダブった仕事が減り、効率性が高まり、生産性が上がる、そんな効果を狙うことができます。
テクノロジーをポジティブにとらえる
GitHubを導入している企業のほとんどは、社内のエンジニアリングの効率化や、社内の開発者の能力の顕在化、スピードや楽しさを絶やさないといった、開発者のための環境整備に使われているように思います。
しかし、それに触れたマネジメント層がGitHubの社内での意義を見出すことができれば、組織や働き方の変革が一気に進む可能性があります。この変化は、組織にとって、非常にポジティブではないかと思いました。
現在、問題解決の最も有力な手段に、コーディングを伴うテクノロジーの活用があります。しかし米国であっても、エンジニアが社内で重要なポジションを占めるというのは先進企業の証になっています。
シリコンバレーではエンジニアの給料が高騰しているため、若干麻痺している部分もありますが。
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