YPJ-Cはシンプルでかっこいいクロスバイクだった
このあと、場所を移して試乗となる。味スタのコンコースを1周(一部、斜路を降りて上るという坂道つき)、約800mを走るのである。
走り出す前に機能をチェック。ハンドルはフラットバー。グリップはエルゴノミクスタイプで、手のひらを乗せて軽く握る感じ。とても楽。
中央に液晶パネル。これはYPJ-Rと同じだ。操作パネルは左手側に。グリップから手を離さずに操作できるようになっている。
細かい事だが、操作部にmicroUSB端子が隠れている。これ、電源供給用なのだ。USB A端子ではなくmicroUSBなので、変換ケーブルでUSB-Aに変換してやる必要はあるが、USB充電式のライトに充電したり、スマホに充電したりもできるのである。
変速はラピッドレバー式で、左右それぞれのレバーで変速を行なう。が、よく見ると左のブレーキレバーにあやしげなパーツが。これはベル。電動アシスト系のユニットがあれこれ装着されたところにベルまでつけるとハンドルバーが狭くなっちゃうが、これならOK。こんなブレーキレバーあるんですな。
ブレーキや変速系はシマノのSORA。エントリー向けのロードバイク用コンポだ。YPJ-Cの「C」をかたどったロゴもなかなかよい。
電動アシストのユニットは、YPJ-Rとまったく同じだ。
試乗したら予想以上に快適だった!
では出発。
ぐっと踏むとすーっとスタート。YPJ-Rと同じく、電動アシストのセッティングが絶妙だ。一般的な電動アシスト自転車は漕ぎ出すと「モーターの力でスタートしました」的な押されてる感があるが、それが全然ない。
STDモードだと、自らの力ですっと漕ぎ出したような錯覚を覚える。でも実際はアシストされてるので、かなりスムーズ。不自然さがないのである。
ちょっと漕ぐと気がついたら時速24kmに上がってるのだが、ここもスゴい。一般的な電動アシスト自転車はアシストが切れた瞬間「あ、アシスト切れた。急にペダルが重くなってしんどいわ」となるのだけど、YPJ-Cは「あれ? 気がついたらアシストが切れてたわ」である。自然にアシストがなくなるのだ。アシストがなくなってもそのまま普通に走っていける。
アシストモードを「HIGH」に上げると、電動アシスト車っぽい力強さを感じるのだが、STDモードだと実に自然にアシストして自然に切れるのである。自転車でなにげに面倒なストップ&ゴーが快適だ。
上り坂ではアシストを感じることができる。ほどよく脚力を使いつつ上っていける。だから、乗っていて電動アシストのありがたみを忘れがちになるが、そんなときはアシストをオフにしてみるといい。あ、さりげなく縁の下の力持ち的に漕ぐのを手伝ってくれてたんだ、と一瞬で実感できるから。
ロードバイクであるYPJ-Rも同じアシストユニットを積んでるのだが、両者を乗り比べて見ると、自転車の基本的な性格がまったく違うことがわかる。
ロードバイクに乗り慣れてない人でも、まったく違和感なく気持ちよく走れるからだ。実用車やママチャリからのステップアップをしたい人にとって、ロードバイクはハードルが高かったが、これなら違和感なく移行できるだろう。しかも、それなりに前傾して漕ぐことになるので気持ちよく力をいれられるし、スポーティーな走りを楽しめるのだ。試乗した感触はすごくよい。
軽いかわりに航続距離が少なめなので
予備バッテリーはひとつ買っておきたい
YPJ-Rは電動アシストの快適さもロードバイクの走りも楽しめるすごく斬新な自転車だが、誰にでも勧められるかというと、そうでもない。やはり20万円超だし、ロードバイクはちょっとハードルが高いし、ライディングポジション的にもぐいぐい走る人向け。
だが、YPJ-Cはちょっと自転車で遠出したい、ポタリングしたいって人など誰にでも勧められる。ほどよく疲れるからいい有酸素運動にもなるし、上り坂があっても気持ちが萎えることがない。電動アシスト自転車ではあるが、スポーツ自転車でもあるのだ。普段着で乗っても違和感ないので、レジャーのみならず通勤や買い物といった日常生活で使える。自転車通勤を考えてる人にぜひオススメしたい。素晴らしい。
ただし、である。YPJ-Rをしばらく使ってみた経験からすると、予備バッテリーは欲しいかなと思う。公称で約22km(STDモード時)と、電動アシスト自転車としては走行距離が少なめながら、スポーツ自転車に乗ってると遠出したくなるからだ。
それを差し置いても、YPJ-Cは実に快適であった。自然にすっとアシストして、自然にアシストが切れる。この絶妙なセッティングは、自転車好きには理想的だ。スポーツ自転車も新時代に突入したなあと思わせてくれる。