SDS「StoreVirtual 3200」とSSDバンドル済みの「MSA 2042」の2機種を発売
“99万円からのSDS”などHPEが中小向けストレージで新製品
2016年08月26日 07時00分更新
日本ヒューレット・パッカード(HPE)は8月25日、中小規模向けのエントリーストレージで新製品を発表した。税抜価格99万円からスケールアウト/スケールアップできるSDS製品「HPE StoreVirtual 3200 Storage」、SSDや自動階層化機能をパッケージしたSANストレージ「HPE MSA 2042 Storage」の2機種で、いずれも同日から発売。
2Uのアプライアンス1台からスタートできるSDS「StoreVirtual 3200 Storage」
StoreVirtual 3200 Storageは、同社のSDSファームウェア「StoreVirtual」を搭載したストレージアプライアンス。2Uサイズの筐体に2.5インチドライブ×25(または3.5インチドライブ×12)、コントローラーノード×2を内蔵し、1/10GbE iSCSIポートまたは8/16Gb FCポートでの接続をサポートする。オプションとしてドライブ台数を増設する外部エンクロージャーを最大3台追加可能で、最大時のドライブ数は2.5インチ×100(または3.5インチ×48)、最大物理容量は288TBとなる。
同機種の特徴は、中小企業や部門のシステムでも導入しやすいように、小規模構成を可能にして価格を抑えている点だ。一般的なSDSは“最小構成3台(3ノード)から”となるケースが多いが、同機種の場合は管理サーバーなし、本体1台(2ノード)からの構成でスモールスタートができる。また、ノード単位で増設するスケールアウトだけでなく、ドライブ単位の増設(ホットプラグ)によるスケールアップにも対応している(※スケールアウトは次期リリースのファームウェアで対応予定)。
StoreVirtual 3200の最小構成価格(税抜)は、ドライブなしで99万円から(1GbE iSCSIモデル、税抜)で、ドライブ(300GB SAS×4本)込みで113万8000円からとなっている。
価格を抑える一方で、自動階層化、スナップショット、リモートコピー、シンプロビジョニング、Active-Activeコントローラーなど、エンタープライズストレージ同様の機能は標準搭載している。また、SDSの分散テクノロジーによって、ノード障害、メンテナンス、ハードウェアリプレースなどの事象にも無停止で対応でき、「99.999%」の可用性が実現する。
ニーズが高まるSSD、自動階層化機能を標準パッケージ「MSA 2042 Storage」
MSA 2042 Storageは、エントリーSANストレージであるMSAシリーズの最新機種。2.5インチドライブ×24(または3.5インチドライブ×12)、SANコントローラー×2を内蔵し、1/10GbE iSCSIポートまたは8/16Gb FCポートでの接続をサポートする。オプションのディスクエンクロージャーにより、最大ドライブ数は2.5インチ×199(または3.5インチ×96)、最大物理容量は768TBまで拡張できる。
今回の新機種では、中小規模のシステムでもニーズが高まっているフラッシュを標準搭載(400GB SSD×2)としたほか、これまでオプションだったSSD自動階層化も標準機能としてパッケージしている。そのうえで、これらのオプションを追加した従来機種比で、約30%の値下げとなる価格設定とした。
MSA 2042 Storageの最小構成価格は、ドライブなしのSASモデルで158万6000円から、ドライブ(300GB SAS×2)を含めて169万4000円から。
MSA 2042が搭載するSSDは、リードキャッシュとしても、自動階層化のホットデータ層としても利用できる。前者は同じファイルの参照が多い環境に、後者はライト処理の多い環境に適する。これらの機能により、標準で最大12万2000IOPSの高速性を実現する。
なお今回、StoreVirtual 3200およびMSA 2042の両製品で、12月29日まで限定のキャンペーンパッケージも発売している。実効容量2.3TBのドライブ(900GB SAS×7)を搭載したStoreVirtual 3200 iSCSIモデルが98万円(標準希望小売価格は152万9000円)、実効容量3.6TB(900GB SAS×6)+800GB SSDを搭載したMSA 2042 SASモデルが149万8000円(同230万6000円)。
いずれも戦略的な価格設定、エントリーストレージ市場をさらに“攻める”
同日の発表会では、エントリーストレージ市場におけるHPEの戦略が語られた。
日本ヒューレット・パッカード 執行役員 エンタープライズグループ事業統括 ストレージ事業統括本部 事業統括本部長の山口太氏は、ストレージ市場には現在、「専業ストレージベンダーには厳しく、総合ITベンダーのHPEには大きなチャンスとなる時代が来ている」と語った。それは、同市場で「ハイエンドストレージ市場の縮小」「フラッシュストレージの台頭」「ストレージを内蔵するハイパーコンバージドインフラ(HCI)の登場」という大きな変化が起きているからだという。
さらに山口氏は、グローバルのエントリー/ミッドレンジ外付けストレージ市場において、この2年間、シェアトップ5社のうちHPEだけが継続的にシェアを拡大しているというIDCのデータを挙げ、前述の市場変化が「HPEに対して有利に働いている」ことを裏付けた。「HPEにとっては、またとない絶好の状況に来ている」(山口氏)。
またヒューレット・パッカード・エンタープライズ アジア太平洋・日本地域 ストレージCTOの高野勝氏は、これまでSDSによるスケールアウトストレージは最小構成でも400~500万円かかり、中小規模システムにおけるニーズとのギャップがあったこと、エントリー市場でもSSD/HDDのハイブリッドストレージに対するニーズが高まっていることなどを背景に、その課題を解決する今回の2製品を投入すると説明した。
高野氏はまた、いずれの製品とも戦略的な価格設定となっており、これをバネに市場シェアのさらなる拡大を図っていくと述べた。
「国内エントリーストレージ市場においてすでに9年連続シェアNo.1の地位をいただいているが、この戦略的な価格設定でさらにもう一歩“攻めて”いきたい」(高野氏)