科学技術振興機構は8月9日、高効率太陽電池に向けた生産性の高いシリコンインゴット単結晶製造方法を開発したと発表した。
太陽電池パネルのシリコン半導体パネルは、単結晶のほうが光から電力への変換効率は高いものの、生産性が高いキャスト成長炉で製造できることから変換効率の低い多結晶のものが一般的に用いられている。今回、新たにNOC法と呼ばれる製造手法を用いることで、キャスト成長炉でも高い歩留まりで単結晶シリコンインゴットを製造するのに成功した。
NOC法は、キャスト成長炉の融液内に低温領域を設定、周囲のルツボ壁に触れないで単結晶を成長させる手法。材料を高純度化するためにルツボを真空で空焼きし、対流によって酸素が混ざらないように回転を極力遅くし、ガスの流れやインゴット底部形状など、さまざまな工夫が行なわれている。
製造したシリコン単結晶インゴットを太陽電池としたところ、最高19.14%、平均19%と、従来のCZ単結晶太陽電池と同等クラスの性能が得られたという。現在の状況でもルツボ径の90%にあたるインゴットを製造できることから、今後さらに大きなシリコンインゴットを製造できると見込んでおり、メガソーラーなどに利用する太陽電池パネルの高効率化に期待できるという。