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核融合炉に行って、炉に飛び込んできた!

2016年07月23日 12時00分更新

文● 林 佑樹(@necamax

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核融合反応のおさらい

 今回取材した核融合科学研究所の大型ヘリカル装置について触れる前に、核融合をおさらいしておこう。厳密には核融合反応で、質量の小さい原子核同士がぶつかり、別の重い原子核になることをいう。

 核融合反応前と核融合反応後では質量が小さくなるため、エネルギー保存の法則に従い、減少した質量がエネルギーとして放出される。発生するエネルギーを利用して発電しようというのが、核融合発電だ。

核融合反応の仕組み

 核融合を起こすためには、条件が緩い重水素と三重水素であっても、地球上では1億2000万度が必要になる。

 重水素と三重水素のガスを高温にすると、イオンと電子に分かれたプラズマとなり、そのイオン同士がくっつけば核融合が起きる。

 しかし、イオンはプラスの電荷を持つため、同じ極の磁石と同じように接近すると反発しあう。その反発力をねじ伏せるスピードを得るために1億2000万度が必要なのだ。

 またその高温を維持しつつ、プラズマの密度を高めないと効率よく核融合が生じず、核融合から得られるエネルギーが高温のプラズマを維持するために必要なエネルギーを下回ってしまう。

 またプラズマの制御も難しく、たとえば核融合が起きている状態のとき、燃料となるガスが少しでも増減したり、加熱のステップが少しでも異なると核融合は起きなくなってしまう。核融合させるまでも大変だが、プラズマの管理も大変なのだ。

ASCII.jp読者諸兄においては、プラズマディスプレーが浮かんだかと思うが、仕組みとしては同じ。発熱がすごかった記憶はないだろうか

 逆にいえば、開始するまでは大変だが、止めたいときにはあっさり止まる。ガスの供給を止めるだけでいいからだ。これは発電所として稼働しはじめたときにメリットとなる。電源をカットしても、プラズマの温度が下がってガスの状態に戻り、あっさり止まる。

 メリットだけの技術はないように、もちろんデメリットもある。実験段階から大規模な施設が必要であったり、核融合によって中性子が放たれる関係上、容器の放射化への対策だけでなく、長期的に見ると中性子線によって部材が脆くなるため、その対策も必要だ。

 また超伝導コイルを使用する都合上、巻枠膨張と含浸効果による歪みに耐えられるかも現在の技術水準ではデメリット、というよりは最後の1点は技術革新次第の部分になる。

プラズマも絶賛研究中

 プラズマとは、ごくごくメジャーな物質の状態変化のひとつであり、温度により固体から液体、気体、プラズマへと変化する。雷もオーロラも、太陽の輝きも、蛍光灯の光りもプラズマで、単語だけは知られているが、まだ謎が多い。

蛍光灯もプラズマを利用して発光しており、核融合発電の仕組みと根本は同じだ。温度は1万度に達するが、プラズマの密度が少ないため、その温度を体感することはない。これはプラズマの密度が大気よりも薄いから。サウナも同じ原理だ

 とくに超高温時のプラズマについては、不明瞭なことのほうが多く、最近では核融合科学研究所で「プラズマの亜臨界性不安定性」が発見された。これは高温のプラズマ内で大きな周波数が突発する現象だ。

 太陽のフレア(これもプラズマ)も同様に突発するものだが、原因はいまだ不明であり、亜臨界性不安定性のメカニズムが解明されたことで、異なる分野での解明に繋がる可能性が出てきている。

 先端科学全般で言えることだが、発見や確立された技術が、異なる分野の助けるにもなるというのは、とてもおもしろい。

 余談となるが、スマホやPCだけでなく、現在の科学水準もそういった発見や技術の集合体だ。発見時や研究途上時にムダといわれていても、しばらくして他の技術と結びついて、生活に必要不可欠なものになっているケースが多い。電子製品に欠かせない「電子」の発見もそのひとつだ。

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