パリに、ドイツやアイルランドと欧州中から人が集まっている――7月10日まで開催の「EURO 2016」だ。4年に1度の欧州のサッカーイベントで、今年は過去最高の20億ユーロの売上が見込まれている。
このような巨大なサッカー市場に、携帯電話メーカーが目をつけないはずがない。今回はHuaweiとZTEのサッカースポンサーについて見てみたい。なお、EURO 2016とは直接関係ない話なので、サッカーファンの方、ご了承のほど。
ファーウェイやZTEはサッカーへのスポンサー活動で
認知度アップを積極的に進めている
EURO 2016に少し触れておくと、今年は欧州24ヵ国が参加する。冒頭の「20億ユーロ」という売上規模は、前回(4年前)の14億ユーロから一気に6億ユーロもプラスになる。これだけ大きなスポーツイベントであるのも、欧州全体でサッカーが国民的スポーツだからだ。
その熱いサッカーファンを取り込もうと、サッカーチームとスポンサー契約を結ぶ企業は多い。2015年に横浜ゴムが年4000万ポンドという大金でチェルシーFCと契約した。実はその前に契約していたのはSamsungだった。だが、このところ活発なのは中国ベンダーだ。
ZTEは5月、ドイツ・ブンデスリーガのボルシア・メンヒェングラートバッハとスポンサー契約を結んだことを発表した。公式の共同スポンサーとなり、同チームが利用するスマートフォンを供給するという。その前の2月、スペインのリーガ・エスパニョーラのセビージャFCと、“公式技術パートナー”としてスポンサー契約を発表しており、今回の契約はこれに続くものだ。
セビージャFCとの契約では、スタジアムでZTEが広告スペースを購入するほか、ファン向けのZTE製品情報の提供、ZTE製品や試合チケットが当たるコンテストを共同で開催すると述べている。ZTEはさらにあのクリスティアーノ・ロナウドを“ブランドアンバサダー”に任命するなど、欧州の人気スポーツ、サッカーを通じてのブランディング戦略を進めつつある。
ファーウェイはサッカーチーム向けの
特別モデルまで制作
ZTEの戦略はある中国ベンダーの成功戦略を真似たものと言える。同じ中国・深センを本拠地とするライバルのHuaweiだ。
Huaweiと欧州サッカーとの蜜月が本格的に始まったのは、2014年春に発表したフランス・リーグアン(1部リーグ)、パリ・サンジェルマンFCからで、同年秋にはトルコのサッカーチーム、ガラタサライSKとも2014ー2015シーズンの間、契約を結んだ。ユニフォームにHuaweiのロゴが入るほか、クラブの公式サイトやSNSの広告枠を購入。ホームスタジアムのTurk Telekom Arenaでの広告も展開するというものだ。
パリ・サンジェルマンFCとの契約は3年間。2014年には「Ascend Mate 7」のオリジナルエディションも発売している。これがフランスでのHuaweiの認知度を高め、同社は2015年にパリにデザインセンターをオープンしている。
サッカーチーム向けとしてはやはり同年、プレミアリーグのアーセナルFC向けに「Arsenal Edition P7」のArsenalエディションを発売している。このほか、イタリアのACミラン、スペインのアトレティコ・マドリードなどとも提携しており、ドイツのボルシア・ドルトムントとは、ホームスタジアムでの無線LANなどネットワーク周りを手がけている。
Huaweiがブランディング目的でサッカーに投資するようになったのは2013年にニュージーランドのウェリントン・フェニックスFCと3年契約を結んだのが初。ウェリントン・フェニックスFCとは2016年に契約を更新しているが、その金額はニュージーランドのサッカー史上最大規模とも伝えられている
なお、Huaweiは今年、ロナウド(ZTEのブランドアンバサダー)からバロンドールの座を奪回したリオネル・メッシと”ブランドアンバサダー”契約を結んでいる。このあたりも、2社の戦略の類似性を感じるところだ。
サッカーへのスポンサーシップがどこまで貢献したかはわからないが、Huaweiのシェアは2014年第1四半期の4.9%から2016年の同期は8.2%に増えている(IDC調べ)。
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