アリババの純利益はアマゾンと比べ物にならない
そして、3つめには、投資戦略が順調に進捗している点だ。
「昨年上場したアリババは中国での事業展開に留まっているが、それでも取扱高では世界のウォルマートを抜いた。また、アマゾンよりも遙かに事業規模は大きい。そして純利益を見ると、アマゾンとは比べものにならないほど儲かっている。それにも関わらず時価総額が低いのは、株主へのプレゼンテーションの仕方が悪いのではないか」と語る。
「歴史は繰り返される。かつての米国、日本、そして中国で起こったことが、インドや東南アジアで始まっている」とし、インド、韓国、インドネシアのイーコマース企業に投資していること、インドのホテルブッキングサービスを展開する企業や、インド、シンガポール、インドネシア、タイ、中国においては、タクシーの配車サービスを行なう企業に出資していることを示した。
「中国のインターネットでタクシーの配車を行なう滴滴は、中国の乗車数だけで世界のUBERを抜いた。こうした企業がソフトバンクグループのなかに数多くある」とする。
またスマホゲームでは、SUPERCELL、ガンホーの2社だけ投資し、いずれも世界一、日本一の人気ゲームを展開し、成功していることを強調した。
そして業績不振が取り沙汰されている米ヤフーについては、「ヤフージャパンと米ヤフーとの違いは、親会社がソフトバンクか、そうではないかというだけの違い。ヤフージャパンはサービス開始1ヵ月後には黒字になった。その後営業赤字には一度もなっていない。米ヤフーをソフトバンクが購入するとか、交渉するといったことはない。だが、ヤフージャパンは実質的にソフトバンクがコントロールしている会社。安心してほしい」と語った。
今が最大の投資チャンス
孫社長は、「ソフトバンクは世界で最大の投資リターンをあげたベンチャーキャピタル、プライベートイクイティである」として、これまでの投資戦略が成功を収めていることを示す。
そして、「この1、2年は投資家の気持ちが揺らいでいる。だがソフトバンクは、いまが最大の投資のチャンスだと考えている。手元に2兆円の資金があり、グローバルでの体験やグループ会社とのシナジーが出せる」とし、「ソフトバンクはこれから世界的な企業になっていく。これまでは練習ラウンド。これからがいよいよ成長の本番である。ソフトバンク2.0がスタートする」と宣言する。
「ソフトバンク2.0」は、昨年5月の2014年度決算発表にあわせて発表したものだが、孫社長は今回もこの言葉をもう一度持ち出してきた。
孫社長は「経営は困難があるが非常に楽しく、やりがいがあるものだと感じている。いまはスプリントの業績改善に相当な時間集中している。新たな課題を得ると、より真剣に物事を考え、それを乗り越えることでより強い姿を築ける。そのことを実感するようになった」とし、「ニケッシュ・アローラに来てもらったことは、本当にラッキーである。ソフトバンク2.0がここからスタートする。さらなる成長を約束したい」と語る。
会見では「積極的な投資活動を行なっていく。ソフトバンクの経営をスローダウンすることはない」と孫社長はコメント。スプリントの業績改善の道筋が見えたことで、ソフトバンク2.0はいよいよ本格スタートを迎えたようだ。
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