日本のITを変える「AWS侍」に聞く 第21回
情シスもメディアもクラウドコミュニティに巻き込み中
IT業界のデストロイヤー長谷川秀樹さんとJAWS DAYSで語る
2016年06月01日 15時00分更新
懇親会参加率100%ってこいつらなんなの?
大谷:そろそろ、コミュニティとの関わりについて教えてください。
長谷川:JAWS自体は知ってたけど、関わるきっかけはre:Invent 2013かな。大阪に比企さんという変人がいて、ラスベガスで小島さんに紹介された。で、大石さんがナイトサファリ楽しんでいる横で、比企さんとコミュニティの話で盛り上がったんです。今から考えれば、小島さんの手の上でうまく動かされていたわけですな(笑)。で、3年前のJAWS DAYS 2014で登壇しに行ったんだけど、最初は「これは来たらいかんところに来たー」と思った。
大谷:長谷川さん、勉強しにくる感じでもないですしねえ。私も3年前のJAWS DAYSはどこに行ったらよいかわかりませんでした。
長谷川:僕が話すのは情シスっぽいネタだけど、ほかは全部エンジニア向け。UNIXなんて、LSとか、CDしか打てないし、みんながかぶりついている基調講演の伊藤直也さんの話とか、なに言ってるか全然わからん。どうしようと思いながら、登壇したけど、けっこう反応がよかった。はてなさんや任天堂さんより星がついたんで、心の中で「うっしっし」と思ってた。
大谷:なるほど。コミュニティに話が刺さったという成功体験があったんですね。
長谷川:まあね。でも、なにがいいかって、JAWS-UGってなんか気持ち悪いじゃん。別にお金もらえるわけでもないし、会社で同じメンバーというわけでもない。交通費払って、わざわざ会場に行って、ワイワイ勉強して、ワイワイ飲むわけじゃん。「これなんなの?」というのが、めっちゃ面白いと思った。大人の放課後活動とか、言えばいいのかな。
大谷:確かにコミュニティ活動に初めて参加すると、面食らいますよね。
長谷川:勉強会30人で、懇親会30人ですよ(笑)。懇親会参加率100%ってこいつらなんなの?みたいな、わけわからん面白さがあった。あと、サービスやプログラムが出だした時に勉強会やるというのは聞いたことあるけど、なかなか続かない。その点、JAWS-UGはけっこう長く続いているしね。だからうちも応援しようと思ってさ。
大谷:で、LT用のドラとか、パイとかを提供しているんですね。
エンタープライズITの人たちを巻き込む「E-JAWS」
大谷:で、長谷川さん自身もエンタープライズ向けのJAWS-UGである「E-JAWS」をやってたりするんですよね。立ち上げた経緯を改めて教えてください。
長谷川:JAWS-UGは基本的にエンジニアの集まりで、大企業の情シスなんてほとんどいない。みんなシャイやしね。だからユーザー企業側のコミュニティを立ち上げ、知識を共有していこうというのが、E-JAWSの発端。お膳立てがあれば、来るという方々なので、だったらお膳立てしようと。
大谷:E-JAWSはクローズドで、情報を共有する感じなんですよね。
長谷川:ただ、どうやって運営するかはけっこう難しいんだよね。JAWS-UGはみんなエンジニアが能動的に行ってるけど、E-JAWSは呼んでもらったから行くみたいな感じ。最初のモチベーションがまず違うので、普通のJAWS-UGとは活動のやり方が違う。
大谷:でも、エンタープライズでもコミュニティの力は大きくなってますよね。
長谷川:去年のAWS Summitでファーストリテイリングの玉置肇CIOがAWSに移行する理由の1つに「コミュニティがあるから」と公言したでしょ。あれ聞いて、比企さん泣いたらしいからね。
大谷:まったく涙の似合わない人なんですけどね。
長谷川:コミュニティの知恵やノウハウって、クラウドだからだよね。富士通のスーパーコンピューターって、基本的に富士通の人しか使えないでしょ。でも、クラウドだったら、クレジットカード登録すれば、誰でも実験できるじゃん。大企業の人だろうが、学生だろうが、チンピラだろうが、やる気のある人はどーんと行けるという世界に、すごいノウハウが溜まっている。
大谷:しかも、みなさん惜しみなく共有しますからね。
長谷川:普通、そういうノウハウってベンダーに聞くやないですか。でも、コミュニティでは、みんなのべつまくなしにブログばっかり書きやがって、本当に変態ですよ。お前らヒマなんかと(笑)。
大谷:過去、デベロッパーブログのサーバー落ちたときは、俺たちの飯のタネをどうするんだと周りの人から怒られたらしいですからね(笑)。
長谷川:で、ブログを見た人が、さらにそれを学ぶというサイクルがすごい。だから、コミュニティとクラウドって、本当にええなあと思いますね。
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